2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛋白質ARPPを指標とする横紋筋肉腫ならびに各種筋疾患の血清診断法の開発
Project/Area Number |
15659085
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井藤 久雄 鳥取大学, 医学部, 教授 (60127610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守山 正胤 大分大学, 医学部, 教授 (90239707)
|
Keywords | ARPP / CARP / 骨格筋 / 筋ジストロフィー / 横紋筋肉腫 |
Research Abstract |
我々は一昨年、骨格筋と心筋に特異的に発現する新規蛋白質Ankyrin repeated protein with PEST and Proline rich region(ARPP)を単離した(Biochem.Biophys.Res.Com.,285:715,2001;Lab Invest,82:645-55,2002)。これまでに以下のごとくに神経筋疾患の病的骨格筋でARPPが発現亢進することを見出している。すなわち、1)ARPPは筋ジストロフィーで発現低下し(Lab Invest,83:711-9,2003;Pathobiology,71:43-51,2003)、2)先天性ミオパチー、ネマリンミオパチー、ミオチュブラーミオパチー症例の萎縮骨格筋線維でしばしば発現亢進する(Lab Invest,83:711-9,2003;Pathol Int,53:653-8,2003;Pathobiology,71:43-51,2003)。3)さらに重要なことにARPPはマウス坐骨神経切断後の萎縮骨格筋で発現誘導される(Lab Invest,82,645-55,2002)。 また、横紋筋由来の悪性腫瘍である横紋筋肉腫24例を免疫組織化学的に解析したところ、全例でARPPの発現を検出したが、平滑筋肉腫では一例も検出されなかった(Am J Pathol,160,1767-78,2002)。これらのことはARPPが神経筋疾患ならびに横紋筋肉腫の新しいマーカーとなりうることを示唆している。 一方、我々は最近、筋壊死を起こす薬物ブピバカインをマウスの後肢に筋注して後肢骨格筋の壊死を人工的に起こさせた後、血液を採取してウェスタン解析したところ、ARPPを検出した。したがってARPP発現細胞が破壊されると、ARPPが血中に放出され検出されることが明らかとなった。このことはARPPが高発現している神経筋疾患患者ならびに横紋筋肉腫患者の血中で検出可能であることを強く示唆している。そこで我々は、血中ARPP検出のために抗ARPPポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を用いたELISA kitを完成させることにより横紋筋肉腫ならびに種々の筋疾患の病態をモニターできると考えた。 我々はこれまでに、1)3種類のラビット抗ARPPポリクローナル抗体と1種類のモノクローナル抗体を作製した。ポリクローナル抗体はそれぞれ全長(1-333)N末(5-88),C末(285-333)部分のARPP蛋白質をGST融合蛋白質として大腸菌で合成、精製したものを抗原として作製した。また、モノクローナル抗体は全長GST-ARPP蛋白質を抗原として作製したが、その後の解析からARPPのN末部分を認識することを確認した。現在、これらの抗体を用いたサンドイッチ法による検出系を確立するために、まずcapture antibodyとdetection antibodyの組み合わせとしてどの抗体のペアの検出感度が高いかを解析中である。また、発色系として抗ウサギ(あるいはマウス)IgG HRP標識抗体を用いるたところ、preliminary dataではあるが、検出可能なデータを得つつある。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] C Nakada, Y Tsukamoto, A Oka, I Nonaka, K Sato, S Mori, H Ito, M Moriyama: "Altered expression of ARPP protein in skeletal muscles of patients with muscular dystrophy, congenital myopathy and spinal muscular atrophy."Pathobiology. 71. 41-51 (2003)
-
[Publications] C Nakada, Y Tsukamoto, A Oka, I Nonaka, S Takeda, K Sato, S Mori, H Ito, M Moriyama: "Cardiac restricted ankyrin repeated protein (CARP) is differentially induced in Duchenne and congenital muscular dystrophy."Lab.Invest.. 83. 711-719 (2003)
-
[Publications] C Nakada, A Oka, I Nonaka, K Sato, S Mori, H Ito, M Moriyama: "Cardiac ankyrin repeat protein is preferentially induced in atrophic myofibers of congenital myopathy and spinal muscular atrophy."Pathology International. 53. 653-658 (2003)