2004 Fiscal Year Annual Research Report
病理標本におけるタンパク質発現動態からの分子病態解析の試み
Project/Area Number |
15659088
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
|
Keywords | 末梢型肺腺がん / MMP / TIMP-2 / 浸潤能 / プロテオミクス / 基質膜抗原 |
Research Abstract |
病態に根ざしたタンパクの発現プロファイルを、新たな病理診断の応用するため、臨床病理学的ならびに実験病理学的な検討にあたった。 昨年までに末梢型肺腺がん症例について、細胞起源を解析したところ、II型肺胞上皮細胞ないしその前駆細胞由来が示唆された。本年度はII型肺胞上皮細胞からの癌化を前提として、病理標本でのタンパク発現の網羅的プロファイルの変化と病理組織学的判断に基づいたデータとのすり合わせ行う予定であったが、具体的な判断に足りうる網羅的データの集積には至っていない。 一方、相違的発現タンパクについて、網羅的アプローチと並行して具体的に標的を絞り込んだ検討も行った。 ここでは肺腺癌細胞において間質破壊と癌の形態の異質性についての関係が不明であることに注目し、基質分解酵素と関連抗原からの解析を試みた。まず異なる増殖パターンを示す76人の肺腺癌症例中147病巣についてMMPsとTIMP-2発現と基質膜(BM)抗原の分布を調べたところ、BM抗原はBAC型(94.7%)で乳頭状/腺房型(24.5%)、固形型(16.1%)に比して高度に認められた(p<0.01)。さらにBM保存群はTIMP-2-陽性細胞と順相関した(p<0.05)。多変量解析によればTIMP-2の高発現は、病理学のステージと独立した予後因子であることが示唆された。このことからも、こうしたタンパクの視点からの病態診断へアプローチは新たな病理診断の可能性を開拓する有効な手段となりうることを示唆している。
|
Research Products
(4 results)