2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子導入ベクターを用いた慢性関節リウマチの治療法の開発
Project/Area Number |
15659096
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40315065)
|
Keywords | 関節リウマチ / FGF-2 / センダイウイルス / 遺伝子治療 / Sprouty-2 / MCP-1 / SIV |
Research Abstract |
原因不明の全身性炎症性疾患である慢性関節リウマチ(RA)について、ラットRAモデルを用い、新規ベクターによる生体内での特定分子の過剰発現・機能制御がRAの疾患形成に及ぼす影響を解析し、病態の分子機構に基づいた日本独自の新規かつ有効な遺伝子治療法の確立を目指している。昨年度までにFGF-2がRAの増悪因子として作用し、ヒト可溶型FGFR1によるFGF2のシグナル遮断で病態を改善し、治療応用への高い可能性を示してきた。今年度は、新たにFGF-2シグナル遮断の効果的な分子標的因子(sprouty-2)の効果や、RAの病態の増悪しうる因子の検索と解析、新ベクターの可能性の検討を行った。 ラットにおいて、sprouty-2はRA発症(誘発14日後)の遺伝子導入で、最低2週間は優位に後肢容積の2-3割の減少をもたらした。このことからFGF2の「細胞内でのシグナル遮断」の有用性が明らかとなり、昨年のヒト可溶型FGFR1との組み合わせなどより効果の高い治療応用の可能性も示唆された。 次に、治療標的分子として、パンヌス組織中に多数存在の破骨細胞の前駆細胞が単球であることから、単球のケモカインであるMCP-1のRA病態への関与の解析のため、ヒトRA、OA関節液中のMCP-1含量を測定した。しかしRA、OA関節液では69.5±21.4、85.1±23.4pg/mlでRAに有意な亢進はなく、アジュバント誘発RAモデルでも有意な亢進は観察できず、治療標的としてのMCP-1遮断の有効性は薄いと結論した。 また、RAが慢性疾患であることから治療遺伝子の長期発現可能なSIVの関節内導入内導入効率について検討した。処置関節の半数に局所的ではあるがレポーター遺伝子発現を認め、今後導入法の改善や副作用の有無の検証が必要なものの、応用への芽が示唆できたと考える。
|
Research Products
(2 results)