2003 Fiscal Year Annual Research Report
研修医における医療事故・インシデントの要因と臨床研修との関係
Project/Area Number |
15659123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣瀬 昌博 京都大学, 医学研究科, 助手 (30359806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今中 雄一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10256919)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00281098)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
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Keywords | インシデントレポート / 研修医 / 臨床研修 / 安全管理体制 / 医療事故 / インシデント・アクシデント / リスクマネジメント / 医療の質 |
Research Abstract |
本院のインシデントレポート報告件数は、平成12年2月から同15年12月末までで、総報告件数6422件、職種別には医師549件、看護師5506件で全体に占める割合はそれぞれ8.5%、85.7%である。従来から、医師の報告件数は少なく、看護師が圧倒的に多いことが指摘されているが、本院も同様の傾向であった。それは、看護業務のほとんどがその性格上患者にもっとも接近し、看護師が最終実施者となることに起因している。一方、研修医は、医師として初めて診療に携わり、点滴や注射をはじめとするさまざまな処置等を学ぶことになる。このような臨床研修における業務は、その後の医師としての知識、技能を身に付けるために重要やあることは自明である。そのような観点から、インシデントレポートを18のコードで分類し、解析すると、報告件数で多い順に看護師では、点滴注射に関するもの1371件、以下、与薬944件、移動・運動522件、手術319件、安静・姿勢281件などであるのに対し、医師では、点滴注射144件、与薬55件、検査39件、手術30件、専門的治療25件などであった。これは、看護師業務が点滴、与薬、および移動・運動、安静・姿勢などの介護業務に多く関わっていることを意味している。また、医師の報告で、点滴注射、与薬、検査などが多いのは、研修医がそのような日常業務に多く関わっていることを意味している。さらに、医師の報告で手術や専門的治療の報告が次に多いのはその手術や専門的治療のインシデントレベルの重大さからであると考えられ、また、報告者は研修医であるものの関与したのは上級医師である。 このような結果から、より安全な医療を提供するために研修医の研修プログラムには、点滴・注射、与薬など薬剤に関する実地訓練や手術・専門的治療の際の合併症や副損傷などの知識と実地訓練を盛り込む必要があると考えられる。
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Research Products
(1 results)