2003 Fiscal Year Annual Research Report
医療者―患者コミュニケーションにおける程度用語の理解に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15659124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
信友 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90037424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 明人 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50291521)
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Keywords | 医療コミュニケーション / 医療者 / 患者 / 程度用語 / 理解 |
Research Abstract |
従来から、医療者と患者の間で問題が発生する場合の一因として会話中の用語の意味合いの違いが指摘されてきた。しかし、実は一般の患者にとってはるかに重要性の高い、「少しお酒を控える」「もう少し運動をする」といった場合の、「少し」や「もう少し」といった副詞の程度に関する研究は全く行われていない。そこで、本研究では、医師、看護婦、患者を対象に、医療場面で頻出する、程度に関する用語の解釈のズレを定量的に評価した。 本年度は、福岡市内の医師、医療職者(看護士、薬剤師)、および一般市民(非医療職者)を対象に、質問紙法による調査を実施し、医療場面でよく使われる程度を表す用語(主に副詞、動詞および形容詞)の解釈のズレを定量的に評価した。 その結果、以下の知見が得られた。(1)医師、医療職者(看護士、薬剤師)、一般市民の職種間で解釈に差が見られる程度表現は「ずいぶん前から異常が見られた」「たまには運動する」「たくさんの薬」「ご飯の量を増やす」「治る確率」であった。(2)対象者の年齢によって解釈に差が見られる程度表現は「夜更かし(時刻)」「たまには・・してもいい」「お酒を少々飲む」「少し運動を増やす」であった。(3)対象者の性別によって解釈に差が見られる程度表現は「もう少しお待ちください」「治る確率」であった。 以上から、対象者の職種、年齢、性別によって、同一用語の理解や解釈に関し、差異が存することが明らかになった。医療者-患者間コミュニケーションで誤解や行き違いを防ぐため、形容表現のかわりに具体的な数値を用いたり、言い換え表現を多用することの必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)