2003 Fiscal Year Annual Research Report
医療の需要曲線と供給曲線―その構造とシフトを規定する要因
Project/Area Number |
15659125
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
安部 雅仁 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (90285544)
|
Keywords | DRG / PPS / Managed care / 定額払い制 / Doctor's fee / Hospital fee / 医療費適正化 / 在院日数の適正化 |
Research Abstract |
平成15年度は、医療の供給構造にも影響を与えうる診療報酬を取り上げ、この中でもDRG/PPS(診断群別分類に基づく定額払い制)を中心に研究を行った。アメリカではManaged careの一環として、83年に入院医療のHospital feeにDRG/PPSが導入された。その経緯と効果をみる限り、いくつかの課題が残されているとはいえ、医療費適正化策としてすぐれた性質をもっている。 近年、わが国においても、DRG/PPSの試行調査・研究が行われている。この目的は、国際的にみて長期の入院医療を適正化する上で、DRG/PPSがいかなる効果を有するかを検証することにある。 研究代表者(安部)はDRG/PPS導入は望ましい方向と考えているが、いくつかの導入前程が残されている。たとえば、(1)入院医療標準化の基礎研究、(2)退院(可能)患者に対する施設や制度面での対応、および(3)医療原価の適正化である。診療報酬のあり方と同様に、これら(1)〜(3)は供給構造にもフィードバックされるものである。 さらに、供給曲線に影響を与える要因として、(4)医療技術の進歩と臨床応用があげられる。たとえばアメリカは「医療技術大国」ともいわれ、将来的には損傷ないし機能不全の臓器・組織を"治療する医療"から"新しいものと交換する医療"にシフトすると予測されている。こうした医療は通常は高額とされ、初期段階の"特殊医療"から対象者拡大に伴って"一般的医療"として浸透する際には医療原価(コスト)の増加につながり、供給曲線にも影響を与えるものとなろう。 今後は需要サイドに焦点をあて、医療の性質に応じた価格弾力性、医療費拡大のミクロメカニズム、および保険に伴う厚生損失、こうした研究に取り組むことにする。
|
Research Products
(1 results)