2004 Fiscal Year Annual Research Report
PETと遺伝子多型を組み合わせたヒト脳における薬物透過性と脳機能研究法の開発
Project/Area Number |
15659126
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 講師 (00333477)
倉増 敦朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90302091)
岡村 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40361076)
櫻井 映子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教務職員 (90153949)
|
Keywords | PET / アセチルコリンエステラーゼ / アルツハイマー病 / 自動車運転試験 / 抗ヒスタミン薬 / ブレーキ反応時間 / P-糖タンパク / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
(1)新規C11標識薬剤としてC11ドネペジルを開発して、東北大学医学部倫理委員会の承諾を得て健常男性成人とアルツハイマー病患者において脳内アセチルコリンエステラーゼを非侵襲的に測定した。正常老化に伴いアセチルコリンエステラーゼが減少すること、また同一年齢の正常被験者と比較してアルツハイマー病患者ではアセチルコリンエステラーゼが低下することが明らかになった。アルツハイマー病におけるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤治療の効果判定に用いることも可能で、継続的に研究を進めている。 (2)第2世代抗ヒスタミン薬フェキソフェナジンと第一世代抗ヒスタミン薬ヒドロキシジンを例に、実用的な課題である自動車運転試験を用いて鎮静作用を研究した。正常被験者において抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンとヒドロキシジン、プラセボ)を服用してもらい、携帯電話による通話の有無で、ブレーキ反応時間の変化を調べた。携帯電話を負荷したのは2種類の課題(自動車運転と携帯電話通話)を同時にさせること(2重課題)により、H1受容体の多い前頭前野に負荷がかかり、抗ヒスタミン薬によるH1受容体占拠率の影響が大きくなると予想されたからである。携帯電話による通話により有意にブレーキ反応時間は延長し、鎮静性抗ヒスタミンは更に反応時間を延長させた。非鎮静性抗ヒスタミン薬にはこの相乗作用は認められなかった。 (3)フェキソフェナジンの脳・血液関門移行性を例にP-糖タンパクの遺伝子多型との関連を研究した。正常被験者のP-糖タンパクの遺伝子多型を調べ3群にわけて、フェキソフェナジン服用後のH1受容体占拠率の違いを測定した。遺伝子多型により占拠率に多少の違いが認められたが、20%を超える変化ではないことにより認知機能低下にそれほど関係しないことが示唆された。P-糖タンパクの遺伝子多型は、脳・血液関門の透過性にそれほど重要な影響を与えていないことがある程度証明された。
|
Research Products
(6 results)