2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血液脳関門における薬物輸送機能に個人差をもたらす遺伝的要因の核医学的解析
Project/Area Number |
15659128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 康文 東京大学, 大学院・薬学系研究科・客員教授(常勤形態) (80114502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 康雄 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (30150436)
佐々木 雅之 九州大学, 医学部, 教授 (40240907)
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Keywords | 血液脳関門 / SPECT / 核医学 / 薬物動態解析 / MDR1遺伝子多型 |
Research Abstract |
本研究では,薬物の脳移行性の個人差を定量的に予測する方法論の確立を目的とした。既に心機能診断薬である^<99m>Tc-MIBIは,MDR1の良好な基質であることを確認している。また,in vivoラットを用いて^<99m>Tc-MIBI投与後の脳各部位(大脳,小脳,脈絡叢)への移行を経時的に測定したところ,^<99m>Tc-MIBIは各部位への分布が認められ,各組織への移行クリアランス(K_1)及び排出速度定数(k_2)が算出できた。以上の知見をもとに,健常人による臨床試験を行った。健常成人被験者6名に^<99m>Tc-MIBI600MBq(常用量)を静脈内投与し,経時的に脳のSPECT(Single-photon emmision computed tomography)画像を撮像することで脳組織における^<99m>Tc-MIBI濃度をモニターした。その結果,大脳,小脳及び脈絡叢においてシグナルを確認でき,特に脈絡叢において強かった。よって,^<99m>Tc-MIBIの脳移行動態は,SPECTを用いることにより評価可能であることが示された。また,脈絡叢におけるK1以外は,ラットの実測値から算出された^<99m>Tc-MIBIの移行特性と非常に類似していることが分かった。ラット脈絡叢におけるK1は,ラット脈絡叢の血流量と近かった。よって,ラット脈絡叢における^<99m>Tc-MIBIの取り込みは,血流律速になっていると考えられた。すなわち,膜透過律速で透過するヒト脈絡叢やラット大脳・小脳とは,種差並びに部位差が認められた。次いで,ヒトにおいて個人差を比較したところ,6人の被験者から得られた大脳におけるk_2値は大きな個人差が認められ,MDR1遺伝子の1236位(C1236T)及び3435位(C3435T)をホモ型で変異を有している被験者では,大脳におけるk_2の値は顕著に小さかった。本研究の成果は,中枢作用薬物の中枢移行における個人差を考慮したオーダーメード薬物治療に有用な情報を提供すると考えられる。
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