2003 Fiscal Year Annual Research Report
位相差トラッキングエコーによる血管壁早期病変の検出
Project/Area Number |
15659131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 智徳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10282138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 賢一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00359506)
平林 泰彦 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70312577)
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Keywords | 大動脈炎症候群 / 頸部超音波 |
Research Abstract |
新しい原理にもとづく位相差トラッキング法による頸部エコーでは、従来のエコー法で測定できない動脈壁の壁弾性を測定しうる。大動脈炎症候群の頸部血管を本法により測定し同疾患の診断、疾患活動性の判定への有用性の検討を目的とした。今年度は位相差トラッキング法による頚部エコー法を臨床応用の可能性を確認するための準備を中心に行った。 1.同方法による測定を可能とする超音波機器の改造及び得られたデータを解析するためのソフトウェアの導入を行った。 2.実際に同機器を使用し健常人10例、大動脈炎症候群患者より活動期6例、非活動期10例、他の自己免疫疾患5例において位相差トラッキング法により頸部血管の内中膜病変を評価した。更に大動脈炎症候群活動期症例2例においては臨床経過との相関を検討した。 3.2)により得られた結果として(1)頚部血管に病変を持つ活動期大動脈炎症候群の頚部血管内中膜はすべての患者で肥厚を認めた。(2)肥厚していた活動期大動脈炎症候群の頚部血管壁内中膜は健常人と比較し位相差トラッキング法によって柔らかい病変として描出された。それに対して非活動期大動脈炎症候群では正常人と同等あるいは正常人より硬い病変として描出された。(3)柔らかく描出された大動脈炎症候群血管壁内中膜は、ステロイドや免疫抑制剤投与による炎症の軽減に伴い硬い病変へと変化した。 以上のように大動脈炎症候群の血管病変部位における炎症は壁弾性に影響を与え柔らかい病変として描出されることが確認された。この壁弾性の変化は疾患活動性と相関し、本法は大動脈炎症候群の早期診断や治療方針の決定に有用と考えられた。
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