2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一晶 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70344679)
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Keywords | カドミウム / メタロチオネイン / 遺伝子多型 / ノックダウン細胞 / siRNA |
Research Abstract |
カドミウム毒性に対する防御蛋白質としてメタロチオネインが知られている。我々はメタロチオネインの遺伝子多型を検討し、転写開始地点の上流5塩基目とエクソン3領域に多型の存在を明らかにした。さらにエクソン部に塩基変異の認められた全例が転写開始地点上流にも変異有することも判明した。両多型の存在率から推定すると、この結果を偶然とは考えにくい。そうであれば、エクソン部と転写開始地点上流の両方に塩基変異のある人間は成人まで成長することができるが、エクソン3にのみ変異を有する個体は何らかの理由で生まれてこないか、生まれたとしても成人になる前に死亡してしまうという可能性が考えられる。そこで本研究は、変異型のメタロチオネインが細胞増殖に与える影響を検討することによって、エクソン3領域における塩基変異が細胞機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。まず、マウス肝由来のメタロチオネイン次損細胞中でのこれら変異メタロチオネインの発現を検討したが、その発現量は極端に少なかった。そこで、遺伝子導入効率の良いヒト培養細胞を用いることにした。まず、siRNA法を用いてヒト由来細胞中のメタロチオネイン-II(ヒト細胞中の主要分子種)のノックダウンを試みた。様々な検討の結果、メタロチオネイン-IIの通常発現レベルが低下しているだけでなくカドミウムや亜鉛による誘導も認められないノックダウン細胞を作成することに成功した。本細胞はカドミウムに対して高に感受性を示し、ここに正常なメタロチオネイン遺伝子を導入してもこの感受性は回復しないことから、siRNAが効率良く機能してメタロチオネインmRNAの分解が生じていると考えられる。また、塩基配列を改変し(アミノ酸配列は正常)、この細胞中に導入してもsiRNAによって認識されないメタロチオネイン-II遺伝子の作成にも成功した。
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