2004 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国都市スラムの結核、エイズ対策への地理情報システム(GIS)導入の試み
Project/Area Number |
15659147
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 宏 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20091704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 玲子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345524)
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Keywords | GIS(地理情報システム) / 結核 / エイズ / 都市スラム / 発展途上国 / コレラ |
Research Abstract |
1.背景:第一年度にザンビアの首都ルサカ市へのGIS(地理情報システム)導入として、人工衛星からデジタル地図を作成した。次には、スラム内住民の家庭訪問によりGPS(全地球側位システム)を用いてデジタル地図に表現可能にした。 2.目的:ザンビアの結核患者の七割はエイズを同時に持っているが、同患者からの患者情報の把握に時間が不足し、本研究遂行が困難と思われた。しかし、首都ルサカでコレラの大発生が見られ、患者情報が十分にとれ、本システムをこの流行対策に用いることは本研究の主目的と同一と思われ、解析を行った。 3.方法:2003年11月から7ヶ月に6529人のコレラ患者が発生し、発生分布、発生地域住民の衛生に関する行動と知識、患者へのインタビューなどの疫学調査を通し、コレラ感染のリスク要因をGISにより分析した。具体的には飲料水の水源、トイレ、手洗いの様態、食物などに関し、症例対照調査を実施しリスク要因を分析した。 4.結果:コレラ患者発生は、雨量の増加と相関し、患者の80パーセントが植民地の時代のいわゆる労働者地域と一致し、上・下水道設備などの都市構造の不備を示唆する結果が得られた。リスク要因とし、トイレと下水道の有無のみが統計的に有意であった。 5.結論:GISにより、定量的に地理的コレラリスクグループの分析が可能となり、コレラのみならず結核やエイズ疾患、他の感染症対策にも有意義な手法であることが明らかになった。今回のGIS法の導入により、今後の公衆衛生活動一般の事業計画、評価への使用による効果が期待できる。
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