2004 Fiscal Year Annual Research Report
外国(特に欧米)で作られた診療ガイドラインが、日本人に応用できるかについての研究
Project/Area Number |
15659159
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松井 邦彦 熊本大学, 医学部附属病院・総合臨床研修センター, 講師 (80314201)
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Keywords | 診療ガイドライン / 日本人 / 予防 / アスピリン / 虚血性心臓病 / 脳卒中 |
Research Abstract |
目的:外国で作られた診療ガイドラインが、その国以外の対象者に、適切に使用することが可能かどうか明らかではない。米国より最近報告された、虚血性心臓病の一次予防について、アスピリン投与に関する診療ガイドラインが、日本人に対して適切に当てはめることが可能かどうか、.昨年度に引き続き、分析、評価を行った。 方法と結果:これまでに出版された文献データを収集し、日本人における虚血性心臓病、脳出血、重症の消化管出血の発生率を、背景因子の異なる群毎に推定し、日本人におけるアスピリンの利益と害を、メタ分析によって評価した。本年度は、日本人において、異なる虚血性心臓病のリスクをもつ対象群(5年の間に発症するリスク)それぞれについて、年齢、高血圧の並存の有無、等に応じて検討を行った。40歳から64歳のグループにおいて、高血圧がない場合はリスクが6%以上、高血圧がある場合は7%以上ないと、発病が予防された症例数と、合併症を生じた症例数の予測が、2:1の割合に達しないことが示された。この結果、日本人において、アスピリンの予防投与が適切と考えられるのは、男性では高血圧と糖尿病を持つ人、女性ではこれらに加え、更にその他の危険因子を持つ人と考えられた。 結論:われわれの行った検討は、限られた既存の一次データを基に、アスピリンの投与に関した米国のガイドラインを日本人へ適用することについて、可能な限りの推定を行ったものである。このため、本研究による結果を確定的なものとすることは困難である一方、外国のガイドラインを日本人に適用することには、同様のリスクをはらんでいることを認識すべきである。本研究の結果によって、外国のガイドラインを使用する場合に注意が必要であるということのみならず、日本人についての重要な臨床上の問題に関したランダム化比較試験の結果が不足していることや、日本における基礎的な疫学データの欠如も問題であることが、明らかになった。
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Research Products
(2 results)