2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラットモチリンのクローニングと新たな生理作用の解明
Project/Area Number |
15659165
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂井 貴文 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40235114)
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Keywords | モチリン / 消化管ホルモン |
Research Abstract |
本研究ではラット及びマウスモチリンのクローニングおよびその生理作用の解明を目的として実験を行っている。ヒト、イヌ、ニワトリなどこれまで同定されているモチリン塩基配列とラットゲノムデータベースからのホモロジー検索によりモチリンエクソン2に高い相同性を示す配列をラットゲノム配列から見出した。PCRクローニング法を用いた検討によって、ラット十二指腸cDNAからラットモチリンエクソン2、と予想される116bpの塩基配列を得ることに成功した。このラットモチリンエクソン2配列は、シグナルペプチドとモチリンのアミノ酸14残基をコードしており、N末端側はこれまで報告されている鳥類を含む他の動物種と高い保存性を示した。また、この配列の組織における発現を検討した結果、脳、下垂体、甲状腺、十二指腸、空腸、回腸、そして精巣など生体内に幅広く観察されたが、他の動物で報告されているのと同様に、十二指腸において最も高い発現が見られた。 続いて3'RACE法と5'RACE法を用いてラットモチリン全域のクローニングを試み、21残基より構成されるラットモチリン配列を得た。現在、RNAの各組織における発現量を検討しているところである。一方、本研究から得られたラットモチリンを合成し、これまでラットで報告されているモチリンの生理作用を検討した。まず、ブタモチリンはラット成長ホルモン分泌を刺激するとの報告があることから、ラットモチリンを静脈血中に投与して血中成長ホルモン濃度変化を検討したが、成長ホルモン分泌刺激効果は観察されなかった。また、ラットモチリンの消化管収縮に対する作用についてウサギを用いて検討したが、ラットモチリンの消化管収縮刺激効果は、ウサギモチリンと比較して約1000分の1程度であった。 今後はラット消化管を用いて消化管収縮作用を検討するとともに、種々の生理的状態および発生のおけるラットモチリンの発現を詳細に検討する予定である。また、現在ラットモチリンに対する抗血清を作製しており、抗体を用いて組織抽出物からのラットモチリンの単離及び免疫組織化学によるモチリン細胞の局在の検討を行う。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Nakamura: "Development of thyroid-stimulating hormone beta-subunit producing cells in the chicken embryonic pituitary gland"Cells Tissues Organs. (in press). (2004)
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[Publications] M.Matsubara: "Ovariectomy modulates ghrelin expression in the female rat stomach"Peptides. (in press). (2004)
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[Publications] Y.Masaki: "Development of gonadotropes in the chicken embryonic pituitary gland"Zool.Sci.. (in press). (2004)
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[Publications] R.Wada: "Existence of ghrelin-immunopositive and expressing cells in proventriculus of the hatching and adult chicken"Regul.Pept.. 111. 123-128 (2003)
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[Publications] I.Sakata: "Growth hormone secretagogue receptor expression in the cells of the stomach-projected afferent nerve in the rat nodose ganglion"Neurosci.Lett.. 342. 138-186 (2003)