2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子(HGF)による腸粘膜上皮幹細胞の分化・増殖と腸粘膜再生医療の試み
Project/Area Number |
15659174
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
坪内 博仁 宮崎大学, 医学部, 教授 (60145480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都 浩文 宮崎大学, 医学部, 講師 (20347058)
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Keywords | 肝細胞増殖因子(HGF) / 潰瘍性大腸炎 / 硫酸デキストラン(DSS) / 炎症性腸疾患 / アポトーシス / Bcl-xL / 腸粘膜上皮幹細胞 |
Research Abstract |
HGFは腸粘膜の増殖を促進し、腸粘膜障害の修復に重要な役割を果たしていると考えられることから、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に対する臨床応用が期待される。本研究はHGFの腸粘膜修復における分子機構と、腸粘膜上皮幹細胞の増殖・分化に及ぼすHGFの影響を明らかにすることを目的としている。4%硫酸デキストラン(DSS)を含む飲水を6日間経口投与し、大腸に潰瘍を作製し、遺伝子組み換えヒトrhHGFを0.5mg/kg/日、4%DSS投与開始日より連日静脈投与し、3日後および6日後の血清と大腸組織を採取した。HGF投与群ではコントロール群と比べてDisease Activity Indexスコアの上昇は軽度で、体重減少、大腸全長の短縮程度と大腸粘膜の炎症細胞浸潤も軽度であった。DSS投与3日後の血中IL-1βはHGF投与群が有意に低値で、大腸組織中のサイトカイン(IL-1β、IL-6、IFN-γ、TNF-α)はHGF投与群ではコントロール群に比較して低い傾向であった。また、HGF投与群はコントロール群と比較してssDNA陽性細胞(アポトーシス陽性細胞)は少ない傾向で、大腸組織中のCaspase3活性はHGF投与群では低い傾向であった。一方、大腸組織中のBcl-xLの発現はコントロール群と比較してHGF投与群で亢進していた。さらに、コントロール群と比較してHGF投与群ではPCNA陽性細胞が多かったが、HGFの投与の有無にかかわらずc-kit陽性細胞(腸粘膜上皮幹細胞のマーカー)はわずかであった。以上の結果から、遺伝子組み換えヒトHGF(rhHGF)はDSS腸炎ラットの腸粘膜修復に有効であること、その効果は腸粘膜上皮細胞の増殖促進作用だけでなく、抗炎症、抗アポトーシス作用を介する可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)