2004 Fiscal Year Annual Research Report
Na^+イオンによるHERGカリウムチャネルの制御機構を探る
Project/Area Number |
15659178
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼口 裕隆 東北大学, 病院, 助手 (00359522)
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Keywords | HERG / イオンチャネル / カリウムイオン / ナトリウムイオン / QT延長症候群 |
Research Abstract |
本研究では,HERGカリウムチャネルを哺乳類の培養細胞に発現し,パッチクランプ法を用いて細胞外Na^+がHERGチャネルに及ぼす効果を解析した。本年度に得られた知見は以下のとおりである。 1.野生型HERGチャネルでは,[K^+]o【less than or equal】2mMとすると,トレイン刺激により誘発されるHERG電流は,初期(I_<1st>)と5分後定常電流(I_<SS>)で著しく異なり,チャネルの使用依存性に電流が増大する。この現象は正常K^+液中では認められず,低K^+かつ細胞外Na^+の存在が必要である。 2.野生型HERGチャネルでは低K^+低Na^+条件とすると,同一イオン環境にも関わらず,刺激頻度により定常電流が大きく異なった。生理的範囲の2mM[K^+]o/144mM[Na^+]oのTyrode溶液中においても,0.017Hz刺激時定常電流(I_<SS(0.017Hz)>)は,0.2Hz刺激時定常電流(I_<SS(0.2Hz)>)の88.4±4.0%であった。この定常電流は刺激頻度を変えると可逆的に変化した。 3.チャネルpore変異型HERGチャネル(G628C/S631C:不活性化しない)では,細胞外Na^+存在下,[K^+]o=0〜10mMの範囲では,トレイン刺激により誘発されるHERG電流I_<1st>とI_<SS>に変化は認められなかった。 4.変異型HERGチャネル(G628C/S631C)では,刺激頻度を変化させても定常電流に変化は認められなかった。 上記実験結果より,細胞外Na^+イオンがHERGチャネルouter poreと相互作用を有し,この相互作用はチャネルの不活性化のメカニズムと密接な関連を有すると考えられた。上記1,2に関しては雑誌「心電図」に発表済みである。 本研究により低K^+血症の状態でHERG電流が抑制される分子機構,HERGチャネルouter poreにおけるK^+とNa^+の分子相互作用とその意義が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)