2003 Fiscal Year Annual Research Report
未知の抗菌ペプチドの探索および炎症性肺疾患発症制御の可能性
Project/Area Number |
15659195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 裕基 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20221947)
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Keywords | 抗菌ペプチド / デフェンシン / マウス / 感染防御 |
Research Abstract |
近年、生体における感染防御機構の一環として、抗菌ペプチドの存在が報告されている。感染症対策の重要性が認識されつつある現在、defensinは、感染防御機構の重要な構成因子として急速に注目を集めている。しかし、defensinの抗菌機序をはじめ、その発現機構は未だ解明されておらず、研究レベルとしては国内・海外ともに萌芽的状態にある。なお、抗菌ペプチド群において、未知の生理活性作用を有する新規defensinが報告されつつある。例えば、本研究者らはマウス骨格筋において新しいdefensinを発見し、mBD6と命名し報告した(Yamaguchi, Fukuhara, Nagase, J Biol Chem 276:31510,2001)。さらに、本研究者らはヒトおよびマウスの精巣上体において特異的に発現するbeta defensinを発見し、抗菌活性を有することを報告している(Yamaguchi, Nagase, J Immunol 169:2516,2002)。 本研究では、defensinの生理的機能を解明するため、マウスbeta defensin(mBD)ノックアウトマウスの作成に着手し、現在、研究を進めている。 また、hBDを中心に、未だ解明されていない、defensinの抗菌メカニズムを探索している。defensinは、Na^+の存在によって濃度依存的に抗菌活性を消失することが知られており、イオン環境が抗菌作用発現に重要と考えられる。生体内defensinの抗菌作用は未知であり、生体内を模したイオン環境および実験的イオン環境において、細菌・真菌に対する抗菌活性を検討中である。また、各種サイトカインや脂質メディエーター(エイコサノイド、血小板活生化因子PAF)は、defensinの誘導・産生や抗菌メカニズムに関与する可能性があり、hBD2抗菌活性を増強・減弱する因子を検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nagase T, Uozumi N, Aoki-Nagase T, Terawaki K, Ishii S, Tomita T, Yamamoto H, Hashizume K, Ouchi Y, Shimizu T.: "A potent inhibitor of cytosolic phospholipase A_2,arachidonyl trifluoromethyl ketone, attenuates LPS-induced lung injury in mice"Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 284. L720-L726 (2003)