2004 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞増殖関連Sonic Hedgehog分子とHAM患者ウイルス抑制機構の研究
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15659210
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宇宿 功市郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30281223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 良尚 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00359978)
久保田 龍二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70336337)
出雲 周二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30143811)
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Keywords | HAM / HTLV-I / 宿主因子 / Shh / Gli2 / RT-PCR / フローサイトメーター / 発症規定因子 |
Research Abstract |
ヒトリンパ球好性ウイルスI型(HTLV-I)感染者においては、宿主個体内においてウイルス発現に対する抑制機構が存在し、それによりウイルス複製と宿主免疫機構が一定の平衡状態にあることが知られている。その分子機構は長年にわたりHTLV-I研究分野における未解決の課題であったが、2001年以降に、この問題の解明に重要な手がかりを与える2つの新知見が相次いで報告された。一つは形態形成にかかわる細胞内シグナル伝達分子として報告されたSonic hedgehog分子(Shh)が、T細胞の分化および活性化CD4陽性リンパ球のクローナルな増殖に関与するという報告であり、二つ目は、Shhシグナル伝達系の最下流に位置する因子であり、かつHTLV-I感染細胞中で転写因子CREBを介してTaxと結合し、LTRからのウイルスの転写制御にかかわる転写因子であるGli2分子が、HTLV-Iウイルスの発現調整に極めて重要な役割を果たすという報告である。 本研究ではこれら分子のHAM発症における意義を明らかにすることを目的としていた。対象と方法であるが、対象はHAM患者、無症候性キャリアー、正常コントロール末梢血中リンパ球であり、方法としてはそのリンパ球中の各分子の発現をRT-PCRとフローサイトメーターにより定量し、各種免疫学的パラメーター、臨床症状と比較することであった。今回の検討の結果であるが、ShhとGli2分子はHTLV-I感染者で発現増強していることが判明した。ShhとGli2分子の発現細胞の表面抗原や臨床症状との関連についての解析では、報告書の時点ではHAM発症を規定する明確なものには行き着かなかった。結論であるが、T細胞におけるShhやGli2の発現増強とHTLV-I感染との関連が示唆された。今後ともHAM発症を規定する因子の一つとして研究を継続させたい。
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Research Products
(5 results)