2003 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックな転写制御による新たな多発性骨髄腫の治療法の開発
Project/Area Number |
15659231
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木崎 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20161432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 義隆 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50250238)
仲里 朝周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10296569)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / ヒストンアセチル化酵素阻害剤 / アポトーシス / 細胞周期 / 転写因子 / NF-κB |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は抗がん剤による化学療法では治癒の期待できない難治な造血器腫瘍である。本疾患の治癒を目指した治療法を開発するためには、分子レベルでの詳細な病態を明らかにし、それらに基づく新たな治療法を開発する必要がある。本研究は、これまでに明らかでない骨髄腫におけるエピジェネテイックな異常を来たしている遺伝子群を明らかにし、新たな骨髄腫の病態解析を行う。さらに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACI)による治療の可能性について検討し、その作用機構の解明をも目的とする。 本年度は、HDACIを用いて種々の骨髄腫細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導に及ぼす効果について検討した。代表的なHDACIであるトリコスタチン(TSA)は種々の骨髄腫細胞株(U266,HS-sultan, RPMI8226,IM9)の増殖を濃度および時間依存性に抑制した。Propidium iodide(PI)を用いた細胞周期解析では、TSAは骨髄腫細胞を細胞周期G1期に停止させた。さらに、annexin Vを用いたFACSによる解析で、TSAは骨髄腫細胞のアポトーシスを誘導し、その増殖を抑制した。TSAによる骨髄腫細胞のアポトーシス誘導機構を解明するために、種々の細胞増殖や細胞周期に関与するタンパクの発現をウエスタンブロッテイングにて解析した。興味深いことに、骨髄腫細胞の増殖に関与する転写因子NF-κBの発現誘導が認められた。また、TSAによる処理にてNF-κBのアセチル化は確認できなかった。さらに、Iκ-Bのリン酸化も認められなかった。NF-κBは骨髄腫細胞の増殖に必須な分子であるため、TSAにて増殖抑制をきたすにもかかわらず、発現が誘導される意義について今後さらに分子レベルで検討する予定である。また、次年度はTSA処理により変化する遺伝子群をcDNA microarray法を用いて解析し、さらに詳細な骨髄腫の病態やHDACIの作用機構について解析する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ito K, et al.: "Induction of apoptosis in leukemic cells by homovanillic acid derivative, capsaisin, through oxidative stress."Cancer Res.. 64. 1071-1078 (2004)
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[Publications] Kohmura K, et al.: "Different roles of p38MAPK and ERK in STI571-induced multi-lineage differentiation of K562 cells."J.Cell.Physiol.. 198. 370-376 (2004)
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[Publications] Kinjo K, et al.: "All-trans retinoic acid directly up-regulate thrombopoietin expression in human bone marrow stromal cells."Exp.Hematol.. 32. 45-51 (2004)
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[Publications] Miyakawa Y, et al.: "Establishment of a new model of human multiple myeloma using NOD/SCIDγc^<null>(NOG) mice."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 313. 258-262 (2004)
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[Publications] Ito K, et al.: "Caffeine induces G2/M arrest and apoptosis via a novel p53-dependent pathway in promyelocytic NB4 cells."J.Cell.Physiol.. 196. 276-283 (2003)
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[Publications] Iguchi T, et al.: "Nitrogen-containing bisphosphonates induce S-phase cell cycle arrest and apoptosis of myeloma cells by activating MAPK pathway and inhibiting mevalonate pathway."Cell.Signal.. 15. 719-727 (2003)