2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659266
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90212563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
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Keywords | 自己抗体 / 自己免疫 / 細胞間接着 / デスモグレイン / 天疱瘡 / 血清学的検査 / 培養細胞 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
尋常性天疱瘡患者血中には、細胞間接着因子であるデスモグレイン3(Dsg3)に対する抗体が存在し、その抗体が表皮細胞接着を阻害し、水疱形成を誘導することが明らかにされている。病勢の指標として、蛍光抗体法間接法やELISA法で測定された抗体価が使用されている。しかしながら、これらの方法で得られる抗体価は、個々の抗体の細胞間接着阻害能を直接示す値ではない。本研究の目的は、天疱瘡患者血清中自己抗体の細胞間接着阻害活性を測定するin vitroの検査法を開発することである。正常ヒト表皮由来ケラチノサイトをシート状に培養し、抗Dsg3モノクローナル抗体、あるいは患者血清を添加後、細胞シートをピペッティングによる機械的ストレスを加え、分断された細胞集塊数を計測し、細胞接着阻害活性の指数(Dissociation Score : DS)とした。天疱瘡モデルマウスより単離されたモノクローナル抗Dsg3抗体を用いて検討したところ、明らかに病的活性を持つ抗体AK23で処理をした細胞シートは、多数の細胞塊に分断されたのに対し、マウスモデルで明らかな病的活性を示さない抗体AK20で処理した細胞シートは分断されなかった。次に、患者血清を用いて検討したところ、活動期の天疱瘡患者血清(n=10)の平均DSは42.2、正常人血清(n=5)の平均DSは、15.6であり、有意に患者血清は高いDS値を示した。さらに、Dsg3 ELISA値が同程度で、活動期の患者血清(n=3)、寛解期の患者血清(n=3)を比較すると、活動期の患者血清において、DS値は、27〜60と高値を示したのに対し、寛解期の患者血清におけるDS値は10〜20と低値を示しELISA値よりも病勢を正確に反映する値が得られた。以上より、本検査法は、天疱瘡自己抗体の細胞間接着阻害活性を測定する簡便で客観的な測定法となると考えられた。
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Research Products
(6 results)