2004 Fiscal Year Annual Research Report
慢性拒絶におけるSDF-1の役割-In vitroでの機能解析と中和抗体を用いた治療実験-
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15659301
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
嶋村 剛 北海道大学, 病院, 助手 (00333617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
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Keywords | 慢性拒絶反応 / SDF-1 / CXCR4 / マウス大動脈移植 |
Research Abstract |
昨年、マウス動脈移植モデルにおいてグラフト慢性拒絶に伴いSDF-1発現量が移植血管片で経時的に増加することや、拒絶に伴いレシピエント末梢血液中のhematopoietic stem cell (HSC)が増加し、これらHSCの98.9%はSDF-1のレセプターであるCXCR4を発現していること等を見いだし報告した。 本年度は、先ず慢性拒絶に伴いグラフト内膜を形成する平滑筋細胞がレシピエント骨髄由来か否かを雌BALB/cマウスをドナー、雄C3H(H-2k)マウスをレシピエントとする動脈移植モデルで検討した。グラフトを抗レシピエントMHC class I (H-2k^k)抗体及び抗CXCR4抗体で二重染色したところ、グラフト内膜に増殖するCXCR4陽性血管平滑筋細胞の多くは抗MHC class I (H-2k^k)抗体にも陽性であった。更に、グラフト内膜内組織では雄性遺伝子SRY抗原とCXCR4が共発現しており、慢性拒絶に伴いグラフトにレシピエント由来の細胞が存在することを確認した。従って本モデルにおけるグラフト慢性拒絶にはSDF-1及びCXCR4陽性なレシピエント由来HSCが重要であることが示唆された。次に、抗SDF-1抗体投与が慢性拒絶反応の抑制に有用な治療法となり得るか検討した。マウス動脈移植を行い、レシピエントにSDF-1中和抗体もしくはコントロール(IgG)抗体を各々10μg/回で腹腔内に3週間投与し、レシピエント末梢血液中のHSC数及びグラフトの慢性拒絶進行度を比較した。移植6週間後の末梢血液中HSC数(10万個当り)はコントロール群で平均17.1個に対し抗SDF1抗体投与群では5.1個と有意に抑制された。また、グラフト血管内膜肥厚も抗SDF-1抗体投与群ではコントロール群の約30%と優位に抑制され、抗SDF-1抗体投与は慢性拒絶反応の治療に有用であることが示された。
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Research Products
(1 results)