2003 Fiscal Year Annual Research Report
革命的脊髄損傷治療法の開発:骨髄細胞あるいは末梢血から中枢神経組織を作る
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15659356
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
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Keywords | microglia / regeneration / spinal cord / transdifferentiation / astrocyte / neuron / oligodendrocyte / ProMGB |
Research Abstract |
様々な脳病理過程において、マイクログリアは活性化し増殖する。脳病理過程が終息すると、マイクログリアの細胞密度はほぼ正常時の状態までに復すると考えられている。しかし、増殖したマロイクログリアが細胞死により数を減少させるという所見はなく、増殖したマイクログリアの数が減少した後には、しばしばアストロサイトーシスが見られる。このような観察は、マイクログリアがアストロサイトへ分化転換する可能性を示唆している。この現象に関連して、我々は、今年度次のような研究成果を得た。 1)ラット一次培養マイクログリアに対し、血清を70%含む培養液等で培養した後、無血清培地に移すことで、アストロサイトのみならず、オリゴデンドロサイト、神経細胞にも分化転換できることを見いだした。この結果は、マイクログリアが、脳再生のための未分化細胞であることを示唆している。 2)ラット一次培養マイクログリアを10%PCSを含む培養液中で維持した後、高濃度血清存在下で培養すると、Id遺伝子産物を強く発現する未分化細胞(プロマイクログリオブラスト、ProMGB)へと変化する。マイクログリアからProMGBへの脱分化過程における表面マーカーの発現変動を、フローサイトメトリーを用いて調べた。その結果、マイクログリアマーカーであるCD11b(IntegrinαM)の発現は維持されている一方、CD31(PECAM)、CD43(Sialophorin)はProMGBへ移行するにつれて発現が大幅に弱まり、逆に、CD44(H-CAM)は増加した。CD54(ICAM)は、いったん増強した後、減弱した。これらの結果から、マイクログリアが多能性を獲得する過程において、細胞接着因子が関与することを示唆している。 これらの結果を基に、現在損傷脊髄内にProMGBを注入し神経外胚葉系細胞に分化させる実験を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K Mori, A Yokoyama, L Yang, L Yang, N Maeda, N Mitsuda, Junya Tanaka: "L-Serine-mediated release of apolipoprotein E and lipids from microglial cells."Experimental Neurology. 185. 220-231 (2004)
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[Publications] A Yokoyama, L Yang, S Itoh, K Mori, Junya Tanaka: "Microglia, a potential source of neurons, astrocytes, and oligodendrocytes."Glia. 45. 96-104 (2004)
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[Publications] Y Kuwabara, A Yokoyama, L Yang, K Toku, K Mori, I Takeda, T Shigekawa, B Zhang, N Maeda, M Sakanaka, Junya Tanaka: "Two populations of microglial cells isolated from rat primary mixed glial cultures."Journal of Neuroscience Research. 73. 22-30 (2003)
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[Publications] F Gu, R Hata, K Toku, L Yang, Y-J Ma, N Maeda, M Sakanaka, Junya Tanaka: "Testosterone upregulates aquaporin-4 expression in cultured astrocytes."Journal of Neuroscience Research. 72. 709-715 (2003)
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[Publications] Y-J Ma, M Okamoto, F Gu, K Obata, T Matsumoto, J Desaki, Junya Tanaka, M Sakanaka: "Neuronal distribution of EHSH1/inetrsection, a molecular linker between clathrin-mediated endocytosis and signaling pathways."Journal of Neuroscience Research. 71. 468-477 (2003)