2003 Fiscal Year Annual Research Report
p73/ΔNp73を介した慢性関節リウマチ滑膜細胞増殖の制御
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15659359
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 康春 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (20124878)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / COX-2 / Hsp70 / p73 / ΔNp73 / DNp73 / NFκB |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の主たる病態である滑膜組織の肥厚は、滑膜線維芽細胞の異常増殖によるが、活性酸素、IL-6、TNFα、あるいはある種のプロスタグランジン等による刺激がこの異常増殖に深く関わると考えられている。従って、上記の刺激に対する滑膜線維芽細胞の応答性を低下させることが、滑膜の肥厚を抑制させ、ひいては治療への応用に結びつくと期待される。 ウサギ滑膜繊維芽細胞(HIG-82)は、TNFα刺激に応答してプロスタグランジンH産生に関わるCOX-2(cyclooxygenase-2)が誘導されることから、滑膜線維芽細胞の異常増殖の良い実験モデル系になりうる。このTNFα依存のCOX-2の誘導は、本研究課題である転写調節因子p73αをHIG-82に発現させることで、有意に低下させることができた。又、レポーターアッセイにおいて、TNFα処理したHIG-82細胞ではNFκB結合配列を有するレポーター遺伝子の発現が誘導されるが、p73αの共発現によりレポーター遺伝子の発現が強く抑制されることを見いだした。TNFα刺激は、NFκBを活性化すると言う事実、並びにCOX-2遺伝子はそのプロモーター上流にNFκB結合配列を有することから、上記の結果はp73αがNFκB依存性の遺伝子発現に対して抑制的に制御することを示唆している。 RA患者滑液中には、正常では観察されない多様な分泌因子が存在している。熱ショックタンパク70(Hsp70)はその一つで、おそらく滑膜構成細胞に対して炎症シグナルとして作用すると推測されている。HIG-82細胞を転写調節ドメインを欠損するp73α(DNp73α)を発現させると、Hsp70発現に関わる転写調節因子HSF1活性が亢進することを見いだした(現在投稿中)。DNp73αは、p73αとヘテロ会合することでp73αの転写調節能を阻害することが知られている。従って、上記のNFκB介在の遺伝子制御におけるp73αの役割を考慮すると、滑膜線維芽細胞の増殖制御には、p73αとDNp73αの量的バランスが重要と推測される。今後、滑膜線維芽細胞の増殖におけるp73αとDNp73αの役割について、さらに研究を進めていく。
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Research Products
(1 results)