2004 Fiscal Year Annual Research Report
胚細胞がんにおけるα-フェトプロテインの発現制御と自然治癒機構の関連
Project/Area Number |
15659387
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 博基 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90104257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 宣幸 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70252682)
森永 伴法 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10351818)
中野 芳朗 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30360267)
玉置 知子 (橋本 知子) 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
吉川 麗月 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90319864)
柳 秀憲 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (50241170)
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Keywords | 胚性腫細胞 / 筋分化 / 細胞障害 / 転写活性 |
Research Abstract |
我々がクローニングしたATBF1遺伝子は4つのホメオドメインと21個のzinc-fingerを持ち、AFP遺伝子の上流の発現制御領域のcis-elementに作用してAFP発現をnegativeに制御する転写因子で、AFP発現の高い消化器癌、胚性腫瘍は悪性度が高いことが報告されている。2005年になってこのATBF1遺伝子が前立腺癌で変異があることが報告され、ATBF1遺伝子がかなり広い癌のスペクトラムにおいて悪性度と関係することが示唆されつつある。 mRNAから推定されるタンパクは400kDaであるATBF1-Aと、約300kDaであるATBF1-Bの2個のisoformをもつことを我々は明らかにしており、前者は神経分化で、後者は筋分化に特異的であった。マウス精巣由来の胚性細胞腫であるP19細胞における筋分化過程ではATBF1-B mRNAが発現し、このmRNAのアンチセンスDNAでは筋分化が抑制されるが、これまでタンパクレベルの検討がされなかたため、我々の作成したポリクローナル抗体を用いて筋分化の際のATBF1タンパクの発現を検討した。予想に反して、ATBF1-Bタンパクの発現は未分化・分化時とも検出されず、むしろATBF1-Aタンパクが約2倍に誘導された。このことは、ATBF1-Bタンパクが不安定なのかmRNAレベルで何らかの機能を果たしている可能性を示唆している。 以上の結果をヒト胚性細胞腫細胞にて検討するために細胞バンクや数カ所の研究施設に細胞の供給を依頼したが、ATCCおよび国内では信頼に足る細胞が得られなかった。研究期間が終了したが、利用できる細胞系の検索にさらに時間を要することとなった。ヒト細胞系が得られない場合には、マウス由来細胞をさらに増やして結果を解析する予定である。
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