2003 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性結膜疾患におけるケモカインの発現と抗ケモカイン療法の開発
Project/Area Number |
15659409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山上 聡 東京大学, 医学部附属病院・客員助教授(常勤形態) (10220245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 誠一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20345052)
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Keywords | 春季カタル / 巨大乳頭 / CXCR4 / mRNA / SDF / 結膜線維芽細胞 |
Research Abstract |
重篤な角膜障害などの治療上の理由により巨大乳頭切除を余儀なくされた春季カタル患者5名の承諾を得た上で、巨大乳頭におけるCXCR1,2,3,4,5およびCX3CR1mRNAなどのCXC,CX3CR1ケモカインレセプターのmRNA発現をRibonuclease Protection Assay法により同時に比較定量した。これら5例の全例において、CXCR4-mRNAの発現レベルが最も高く、また正常結膜に比べても高い発現量を示した。このうち3症例の巨大乳頭についてCXCR4の発現を免疫組織学的に検討したところ、正常角膜に比較して多数の陽性細胞が検出された。次にCXCR4のリガンドであるSDF/CXCL12のmRNA発現を半定量的RT-PCR法で検討したところ、巨大乳頭におけるmRNAの発現量は、正常結膜に比べ有意に高かった。さらにSDF/CXCl12の発現の一部は結膜の線維芽細胞が担っている可能性を考え,培養ヒト結膜線維芽細胞のmRNA発現を確認したところ、SDF/CXCL12-mRNAが検出された。この培養ヒト結膜線維芽細胞にIFN-γ,IL-4,IL-13,TNF-αを添加し,ELISA法によりSDF/CXCL12蛋白量を定量したところ、IFN-γ添加によりSDF/CXCL12の産生が増加した。以上より、春季カタルの巨大乳頭増殖にCXCR4-SDF/CXCL12が関与しているものと考えられた。またSDF/CXCL12の発現が、アレルギー反応で重要性の指摘されているIL-4,IL-13などのTh2サイトカインの発現により促進されないこと,CXCR4の発現は一般にT細胞、B細胞、NK細胞、好酸球、肥満細胞などの多種類の白血球にわたることから、巨大乳頭増殖にかかわる細胞の非特異的な集積に関与している可能性が示唆された。
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