2004 Fiscal Year Annual Research Report
Toll-like receptorの遺伝子多型が敗血症の病態と予後に及ぼす影響
Project/Area Number |
15659427
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多賀 直行 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20346456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40252952)
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50150967)
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | 敗血症 / TLR4 / 遺伝子多型 / ヘムオキシゲナーゼ / 呼気一酸化炭素 / COヘモグロビン / 全身麻酔 / 脊髄くも膜下麻酔 |
Research Abstract |
近年、敗血症(Sepsis)の病態や予後に炎症性メディエーターの遺伝子多型が関与するのではないかとの報告が相次ぎ、注目を集めている。Toll-like receptor 4(TLR4)は最近発見されたLPS受容体でLPSに対する生体の反応性に重要な役割を果たしている。昨年ヒトのTLR4に遺伝子多型が存在し、LPSに対する生体感受性に関与する可能性が報告された。ヘム分解の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼ(HO)はストレス蛋白の1種でその発現にTLR4が関与することが示唆されている。本研究ではTLR4の遺伝子多型がSepsisの予後に及ぼす影響を明らかにする第1段階として、全身麻酔、あるいは脊髄くも膜下麻酔を受ける外科手術患者を対象に、HOによるヘム分解反応により体内で生成される一酸化炭素(CO)を動脈血中COヘモグロビンレベルと呼気COレベルで検知し、その周術期における変化を検討した。その結果、呼気COレベル、動脈血中COヘモグロビンレベルはともに術前値にくらべて術後1日目には有意な高値を示すことが明らかとなった。一方、全身麻酔群と脊髄くも膜下麻酔群の比較ではいずれの値も有意差が認められなかった。この結果は、全身麻酔による肺への侵襲より、むしろ外科侵襲による全身性の炎症反応が酸化的ストレスを引き起こし、HOを細胞内に誘導し呼気COレベルの増加につながったことを示唆している。この結果はTLR-4の遺伝子多型研究につながる画期的成果である。
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Research Products
(1 results)