2003 Fiscal Year Annual Research Report
系統発生学的に分岐点にあるワニを用いた歯周組織の分化・再生に関わる因子の同定
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15659433
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 靖雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70014157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 正人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70313228)
今井 元 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90291343)
柴田 俊一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80187400)
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Keywords | 歯周組織 / 歯胚 / 再生 |
Research Abstract |
ワニを用いて歯周組織の分化と再生に関わる因子の同定に肺する研究を遂行するにあたって、まず15年度(初年度)はin vivoにおいて歯胚の再生モデルの作製を試みた。ワニ(メガネカイマン)上顎ならびに下顎歯列の中間部に5歯分に相当する欠損部を作製し、そこに位置する機能歯、後続歯胚および歯堤を完全に除去し、その後の経過を観察した。術後一ヶ月で手術創は瘢痕状に治癒していた。軟エックス線撮影後、この部の顎骨ならびに周囲軟組織を一塊として摘出し、10%ホルマリン・アルコールにて固定した後、通法にしたがって脱灰(ギ酸)連続パラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を施して光学顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、軟エックス線では除去部においては歯胚に相当すると思われる不透過像は認められなかったが、連続切片による観察では、除去部に再生した口腔粘膜上皮直下の結合組織内に歯胚様の構造物を認めることができた。この構造物は口腔粘膜上皮から基底膜を伴って陥入している短い歯堤様の上皮性細胞索に連続し、通常の歯胚にみられるような歯乳頭、象牙芽細胞、象牙質、エナメル器の一部などに類似した組織を有していた。以上のことから、この歯胚様の構造物の出現は、欠損部に生じた口腔上皮に連続する歯堤の発生と初期胚の再生を意味するものであると考えられ、ワニを用いて歯周組織の分化・再生を明らかにすることを目的とした実験モデルの構築を可能性するための基礎データを得ることがてきた。
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