2004 Fiscal Year Annual Research Report
系統発生学的に分岐点にあるワニを用いた歯周組織の分化・再生に関わる因子の同定
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15659433
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 靖雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70014157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 俊一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80187400)
今井 元 昭和大学, 医学部, 講師 (90291343)
太田 正人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70313228)
阿部 達彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80376722)
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Keywords | ワニ / 歯胚 / アメロジェニン遺伝子発現 / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
ワニを用いた歯周組織の分化と再生に関わる因子の同定に関する研究を遂行するにあたり、平成16年度は、ワニ歯胚の分化を観察するための実験系を確立する研究を試みた。ワニ(メガネカイマン)の口腔内より採取した歯胚の遺伝子発現のパターンを観察するため、既にクローニングされたワニアメロジェニン遺伝子をプローブとしてin situハイブリダイゼーションを行った。麻酔下において周囲の歯周組織と一塊として摘出した機能歯ならびに歯胚を、5%パラホルムアルデヒドにて固定後、通法にしたがいRNase freeの条件下で脱灰(10%EDTA)パラフィン連続切片を作成し、in situハイブリダイゼーションを行った。ワニの鐘状期歯胚において内エナメル上皮は、エナメル質形成の程度に伴い、増殖期、組織分化期、エナメル質基質形成期、エナメル質成熟期に分けられるが、組織分化期以前のステージにおいて硬組織形成やアメロジェニンの遺伝子発現はほとんど認められない。組織分化期よりエナメル質基質形成期の境界では、象牙質の基質形成が認められるが、同遺伝子の発現をほとんど認めない。しかし、基質形成期の中ほどでは非常に強く同遺伝子の発現がみられる。また、エナメル質成熟期の大部分の内エナメル上皮には基質形成期ほどの同遺伝子の発現は認められない。以上より、ワニアメロジェニンの遺伝子発現は、ワニエナメル芽細胞の透過電子顕微鏡的微細構造の観察から得られた形態学的なエナメル芽細胞の分化程度と相関を示していることが確認された。
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