2004 Fiscal Year Annual Research Report
半経験的分子軌道法を用いた分子構造とアポトーシス誘導活性の相関関係の体系化
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15659444
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
石原 真理子 明海大学, 歯学部, 講師 (50095329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 宏 明海大学, 歯学部, 教授 (50138484)
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Keywords | 半経験的分子軌道法 / SAR and QSAR / 細胞傷害活性 / 口腔扁平上皮癌細胞 / β-ジケトン類 / クルクミン / 鉄キレート錯体 / 反応機構 |
Research Abstract |
前年度に続き、23種類のβ-ジケトンについてヒト癌細胞(口腔扁平上皮癌細胞HSC-2、唾液腺腫瘍細胞、前骨髄性白血病細胞)、ヒト正常細胞(歯肉線維芽細胞、歯髄細胞、歯根膜線維芽細胞)を用いて細胞傷害活性を検討した。その結果、curcumin[1]、(-)3-(trifluoroacetyl)camphor[2]、3-formylchromone[3]が高い細胞傷害活性を示した。β-ジケトン類は各種金属とキレート形成することが報告されている。HSC-2を用いて、これら3種のジケトン類のキレート効果を鉄(FeCl_3)を添加した時の細胞傷害活性と吸収スペクトルの変化を指標として検討した。その結果[1]のみに鉄の効果がみられた。この事実は[1]は鉄とキレート錯体を形成するが、[2]及び[3]はそれが形成できないことを示唆した。(坂上担当) これらの実験事実を説明するために、[1]、[2]、[3]と鉄が1:1でキレートを形成すると仮定しこの錯体の推定構造を考え、その構造が妥当かどうかを半経験的分子軌道法(PM3法、INDO/1)により予測した。その結果次のように考察した。[1]は直鎖構造を持ち自由度が大きい化合物であるが鉄とキレートすると自由度が減少し6員環が安定化する。この錯体は安定であるので団は鉄とのキレート形成に優先的に使われるので、細胞に作用できる直鎖型の田の比率は減少する。その結果、細胞に影響を与えなかったと思われる。他方、[2]は環状構造をとっているので自由度が無く、鉄とキレートを形成すると歪みが生じ不安定になると推測される。大半の[2]はキレート形成しないで存在し、それ故細胞に作用する。[3]はエノール化できないので鉄とキレートすることは先ず無く、細胞に作用したと考える。今回の研究は3種のβ-ジケトンのうち[1]はFeCl_3とキレートを形成するが、[2]と[3]は形成しないことを示唆した。(石原担当)
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Research Products
(6 results)