2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜の保存・再生法の確立と新たな歯の移植法の開発
Project/Area Number |
15659492
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
丹根 一夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 俊嗣 広島大学, 病院・講師 (80281161)
加来 真人 広島大学, 病院・助手 (10325194)
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Keywords | 歯の移植 / 歯根膜 / 凍結保存 / プログラムフリーザ |
Research Abstract |
【目的】矯正歯科治療において抜去される小臼歯や智歯は、正常な歯根膜を有しているにも拘わらず、多くの場合廃棄されることとなる。一方、抜歯操作により損傷した歯根膜を再生し、これを長期的に凍結保存し、自家移植する治療体系を創り上げることができれば、その利用価値は非常に高くなるものと考え、抜去歯の歯根膜再生法の確立を本研究の目的とした。 【方法】実験には、矯正歯科治療のために便宜抜去した小臼歯および智歯を用いた。ダイヤモンドバーを用いて、根表面の歯根膜およびセメント質を除去した。次いで、無処置群、水溶性コラーゲンであるアテロコラーゲンのみを塗布した群、根全面にアテロコラーゲンを塗布し、人工骨に埋め込んだ群に分類し、それぞれ培養皿上に静置した。培地は、10%ヒト血清含有α-MEMを使用し、37℃、5%CO2下にて、14日間培養した。培養期間終了後、アルカリフォスファターゼ(ALP)染色を施し、残存歯根膜から新たにALP活性陽性歯根膜細胞に被覆された根面の範囲を、実体顕微鏡にて比較した。 【結果】無処置群と比較し、アテロコラーゲンを塗布した群では、残存歯根膜から増殖したと思われるALP活性陽性歯根膜細胞による被覆が認められた。さらに、アテロコラーゲンを塗布し、人工骨に埋め込んだ群では、歯根面においてALP活性陽性歯根膜細胞による根面の被覆はさらに広範囲に及んでいた。 【結論】これらの結果より、歯根表面にアテロコラーゲンを塗布し、人工骨に埋め込み、口腔内と類似した環境で培養することにより、歯根膜組織再生がより効率的、かつ確実に達成されることが示された。本研究グループでは、微弱磁場により細胞破壊を起こすことなく凍結する機能をもつプログラムフリーザーの開発をすでに完了し、マウス咬筋を用いた実験により、その機能は実証されている。本方法で培養した歯根膜をプログラムフリーザーを用いて長期的に凍結保存することにより、任意の時期の歯の移植が可能となり、かつ歯根膜が完全に残存していることから、歯の自家移植の良好な成果が期待される。
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