2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔局所のアセトアルデヒド(発がん物質)産生因子の解明
Project/Area Number |
15659503
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 学 国立ガンセンター研究支所, がん治療開発部, 室長(研究職) (40360698)
於保 孝彦 九州大学, 大学病院, 講師 (50160940)
中野 善夫 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (80253459)
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Keywords | アセトアルデヒド / 呼気成分 / 発癌性 |
Research Abstract |
これまで、被験者の呼気中のアセトアルデヒド濃度の測定は、呼気を直接にガスクロマトグラフかけて行ってきた。しかし、この方法では化学的に不安定なアセトアルデヒドを含むサンプルを長時間安定に保存できず、多数の被験者の測定にあたっては様々な面で制約を受ける。このため、本研究では将来の臨床応用も見据えて、アセトアルデヒドをジニトロフェニールヒドラジン(DNPH)と反応させ安定なヒドラゾン誘導体としてトラップする濃縮捕集法を応用し、さらに検体を洗口の吐出液とし、これをHPLCを用いて測定する方法を確立することを目的とした。しかしながら、本法による測定では、室内環境の指標として調べられるホルムアルデヒドの測定は低濃度でも可能であったが、アセトアルデヒドの測定ではバックグラウンド値が高くなるため、口腔内から採取される気体量でのアセトアルデヒド分析には本法が適当でないことが分かった。そこで、トラップ剤を(トリフルオロメトキシベンジル)ヒドロキシルアミンに変えて、アセトニトリルによる溶出液をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーで測定する方法を用いて、口腔由来の気体を100ml採取して、アセトアルデヒドの測定を行ったところ、400〜1600nmol/lまでの定量が可能であった。しかし、この方法ではガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーを用いることから、測定が煩雑であり、多検体を一度に調べるには、より簡便な方法が求められる。そこで、つい最近開発されたCNETと呼ばれるトラップ剤を用いて、アセトニトリルによる溶出液をHPLCで測定することで、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーで測定する方法と同程度の感度でアセトアルデヒドの測定が可能であることが確認でき、本法をアセトアルデヒドの測定に用いることで、広く口腔由来のアセトアルデヒド産生量の疫学調査などを行うことが可能になると思われる。
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