2003 Fiscal Year Annual Research Report
アクティビティ・ベースト・マネジメントに基づく高齢者のポケット褥瘡ケアの開発
Project/Area Number |
15659527
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
紺家 千津子 金沢大学, 医学部, 助手 (20303282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 弘美 金沢大学, 医学部, 教授 (50143920)
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Keywords | ポケット褥瘡 / 治癒過程 / サイトカイン / 高齢者 |
Research Abstract |
初年度の研究目的は、ポケット形成の有無における褥瘡の治癒過程を創の状態と細菌とサイトカインという生理学的視点から違いを検証することである。さらに、これまでに抽出された治癒を遅延させる要因である失禁による創汚染、殿部皮膚のたるみを除去するという考案したケア介入の実施による生理学的視点の差異も検証した。 方法は、全層損傷の褥瘡の浸出液中のサイトカインと細菌を4週間ごとに調査し、ポケット形成の有無及びケア内容における経時的変化を比較した。対象は、研究参加の同意が得られた65歳以上の全層損傷の褥瘡を保有する入院患者である。サイトカインは、褥瘡部にポリウレタンフィルムドレッシング材を貼付し、貯留した浸出液を検体とし測定した。創部の細菌はスワブ法にて採取した。創の治癒過程は、1週間ごとにDESIGNと創面積にて評価した。なお、対象者からは、研究協力の承諾を得た。 その結果、調査対象はポケット形成褥瘡8名8部位、ポケット形成のない褥瘡1名2部位であった。サイトカインでは、全検体からbFGFとPDGF-ABは検出されなかった。ポケツトの有無で比較すると、ポケットがあるとヒスタミンとIL-1αの炎症性サイトカインが有意に高値であった。治癒過程との関係からは、bFGFとTGF-β1が上昇すると創あるいはポケット面積が縮小していた。1例ではあるが、殿部皮膚のたるみを補正するケアを追加したところbFGFが上昇した。創部では、起炎菌は検出されなかった。 以上より、全検体からbFGFとPDGF-ABが検出されなかったことより、全層損傷の褥瘡は線維芽細胞の増殖が遅延している状態が起こっているといえる。また、ポケツト褥瘡は、炎症性サイトカインが有意に高値であったことより炎症が遷延している可能性があり、bFGFとTGF-β1が上昇すると創面積が縮小していたことよりポケット褥瘡の治癒にはbFGFとTGF-βが多いに関係していると示唆された。今回1例ではあるが、ケア介入がサイトカイン値に影響を与えたことより、今後もサイトカインに注目して有効なケア方法を検証していく計画である。
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