2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15659530
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 裕子 (小原 裕子) 九州大学, 医学部, 助教授 (50294989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長弘 千恵 九州大学, 医学部, 教授 (00289498)
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Keywords | 在日外国人 / 韓国・朝鮮人 / 高齢者 / 介護 / 文化 / 食習慣 / 介護者 / ストレス |
Research Abstract |
1.本研究の目的 本研究は、在日コリアン一世の介護にたずさわる介護者のストレスの内容を明らかにすることである。在日コリアン一世の高齢化傾向は著しく、介護支援に関する様々な問題を抱えているとされる。そこで、本年度は、高齢者介護の場面における、在日コリアン社会の持つ文化的社会的特徴を明らかにすることを目的とした。 2.本研究の方法 (1)大阪市生野区および東大阪市において、在日コリアン一世のためのデーサービスセンター4箇所を尋ね、参与観察を行った。また、デーサービスにおける介護者に対してインタビューを行った。 (2)在日コリアン高齢者に関する文献研究を行った。 3.結果 本研究の結果、以下の点が明らかにされた。 (1)在日コリアン高齢者は、日本人用の施設に入所するときには、様々な配慮が必要となること。具体的には、施設内での食事、食習慣、遊戯、歌などである。また、日本語も韓国語も読み書きのできない人が多いため、文字によらないコミュニケーションをとる必要がある。 (2)痴呆の進んだ在日コリアン高齢者の場合、日本語は通じず、母語でしかコミュニケーションが図れないため、介護者は、在日コリアン高齢者の母語(済州島および韓半島の各地の方言)を話せる必要がある。 4.考察 本研究の結果、同じ高齢者とはいえ、在日コリアン高齢者に対しては、日本人とは異なる文化的、社会的背景を考慮する必要があると思われた。なお、介護施設の中には、あくまで在日コリアンの文化的独自性を前面に押し出すタイプの施設と、あえて在日コリアンを前面に出さないタイプの施設があるが、双方とも、日本社会における在日コリアンの特殊性を大事にしつつ、日本社会の多文化化を求めるという点では、共通した見解が得られた。本研究実施中に、在日コリアンの介護者が中心となり、各施設相互のネットワークを作る動きも見られた。従って、次年度は、そのネットワーク活動の課題についてもさらに掘り下げていく必要があると思われる。
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