2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質-視床投射結合のシナプス特性と時空間的制御機構の解明
Project/Area Number |
15680012
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
宮田 麻理子 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教授 (70281631)
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Keywords | 視床 / 皮質視床路 / カイニン酸受容体 / 内側毛帯 |
Research Abstract |
平成13年から14年までの研究で痛覚情報処理に皮質視床シナプスが関わっていることを明らかにした。感覚情報は末梢から情報は内側毛帯シナプスを介してVB核投射細胞に入力する。一方、皮質からは大量のフィードバックシナプス(皮質視床シナプス)が入力している。感覚情報は内側毛帯シナプスの入力が皮質視床シナプス入力と連合して情報処理をしていると考えられる。しかしながら、これらシナプスの特性を詳細に解析した報告はなく、不明な点が多い。研究代表者は視床VB核投射神経細胞のシナプス解析に着手し、視床水平断標本において、内側毛帯シナプスと皮質視床シナプスのEPSCsを同一のVB投射細胞から記録する方法を確立した。マウスVPL核投射細胞において、皮質視床シナプスのEPSCsに、NMDA受容体、AMPA受容体に加えてカイニン酸受容体成分が存在することを見出した。一方、末梢からの感覚情報を受ける内側毛帯シナプスEPSCには、カイニン酸受容体成分は存在しなかった。カイニン酸受容体は、AMPA受容体に比べてdecay time constantが遅いため、高頻度のシナプス入力で内向き電流は加算され、非常に大きな興奮性を標的細胞に与えると考えられる。さらに、マウス体性感覚野の5-6層の神経細胞では、カイニン酸受容体のGluR5-7遺伝子が有意に高く発現しており、皮質視床シナプスの前終末にも、カイニン酸受容体が存在すると推定する。従って、皮質視床シナプスの前後シナプスに存在するカイニン酸受容体が、入力頻度を感知して、精巧に感覚情報のゲインをコントロールしている可能性がある。一部の成果は、北米神経科学会等に発表し、現在論文にまとめているところである。今後は、皮質視床シナプスのカイニン酸受容体によるシナプス入力のゲインコントロールの研究を進める予定であり、また、炎症性疼痛時にこのようなシナプス入力がどのように変化するのか、mGluR1の寄与を含めて研究する予定である。
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Research Products
(2 results)