2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法における医療照射時下線量評価統合システムの構築
Project/Area Number |
15680016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / オンライン線量評価 / γ線テレスコープ / 電離箱 / 治療計画システム / 患者位置決めシステム |
Research Abstract |
本研究では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のために、「ビームモニター」および「γ線テレスコープ」等のオンライン測定系から得られるデータを治療計画システムによる事前評価結果に反映させた「医療照射時下線量評価統合システム」の構築を目的としている。二年目である平成16年度は、「二系統γ線テレスコープシステム」の作製・設置および特性評価を行った。 本γ線テレスコープシステムについては、最近のBNCTにおける患者体位の多様化および複雑化、ならびに、二つのホウ素化合物BSHおよびBPAの併用開始、という二点を念頭に構築を行っている。まず、平成15年度に設置した一系統目について、昨年度の特性確認結果を踏まえ、改良を施した。続いて、一系統目とほぼ同じ構成で、二系統目の設置を行った。そして、両系統を総合した一つのシステムとして種々の特性確認実験を行った。 まず、KUR重水中性子照射設備の照射レール装置を用いて、各系統についてのγ線検出効率の評価を行った。1cm^3程度のγ線源を照射場近傍で三次元的に移動させ、各系統の検出器の検出効率の三次元的分布データを作成した。続いて、実際の臨床を模擬したファントム実験(脳腫瘍および肝腫瘍を模擬)を行った。これらの特性実験結果から、(1)実際のBNCT照射条件(患部表面で5×10^8cm^<-2>s^<-1>の熱外中性子束、正常部位硼素濃度10ppm、腫瘍部位硼素濃度50ppm)において5分程度の計数で実用上十分な精度(±5%以内)の評価が可能であること、(2)正常、腫瘍部位それぞれの平均的硼素濃度の分離評価が可能であること、が確認された。 二系統γ線テレスコープシステムの実際のBNCT臨床における有用性および有効性を確認するために、平成16年度後半より、頭部、頭頸部および腹部(肝臓癌)に対する臨床において試用を開始した。患者の血液サンプルを用いた即発γ線測定法による硼素濃度の推定値との比較から、相対的な整合性はほぼとれていることが確認できた。
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Research Products
(2 results)