2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ新材料開発のための低速電子回折による迅速な表面結晶構造解析
Project/Area Number |
15681007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 清義 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (60229705)
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Keywords | 低速電子回折 / 表面結晶構造解析 / シリコン表面 / 金属表面 / 電子線照射効果 / 金属吸着構造 / リアルタイム画像計測 / 表面3元合金 |
Research Abstract |
昨年度に設計・製作を行った装置を用いて実験を進めた。また、迅速I-V曲線測定システムの整備とプログラムの改良を進めた。 Si(001)-c(4x2)構造を20Kまで冷却して低速電子線を照射すると、表面の傾斜ダイマーがフリップフロップ運動を起こし無秩序化を引き起こすことを見いだした。また、クリーニング後に20Kまで冷却した直後に低速電子回折パターンを観察するとc(4x2)構造が保たれていることを見いだし、Si(001)表面の最安定構造がc(4x2)構造であることを確定することができた。これらの結果は、(1)5x10^<-11> Torr以下の高い真空度。(2)通電加熱方式による真空度劣化のない温度制御。(3)液体ヘリウムを用いた20K以下の冷却。(4)液体窒素トラップを用いた低速電子回折装置及びシャッターの冷却による残留ガスの低減。(5)迅速I-V曲線測定システムの整備、という本研究で製作した装置の特徴を活かした研究結果であり、このシステムが表面構造の観察に高い能力を持っていることを示すことができた。 また、Si(001)-(2x2)-Tl構造の構造解析を行った。半導体表面は金属に比べて表面近傍の原子位置のずれが大きく、構造決定が難しい。しかし、本システムにより迅速に高い精度で回折パターンの強度分布を測定できたため、表面最上層から6層程度までにわたる原子位置の決定に成功した。得られた原子位置のパラメータは第一原理計算の結果ともよい一致を示した。 さらに、Cu(001)表面上のMg, Bi共吸着およびMg, sb共吸着によって形成する周期構造を様々な被覆率の組み合わせで観察し、そのうちの大部分の構造を決定することができた。特にp(4x4)-p4g構造は両方の系で現れ、吸着原子間同士の引力的相互作用が重要な働きをしていることを示すことができた。
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Research Products
(3 results)