2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム生物学との融合を目指したマメ科植物就眠運動の生物分子科学
Project/Area Number |
15681013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 実 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (60265931)
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Keywords | マメ科植物 / 就眠運動 / 光親和性プローブ / 受容体 |
Research Abstract |
マメ科植物が夜になると葉を閉じ、朝には再び葉を開く就眠運動は、生物時計によってコントロールされている。我々は、生物時計による運動のコントロールに関する研究を行い、就眠運動が、植物中における就眠・覚醒両物質の濃度バランスの逆転により起こることを明らかにした。就眠・覚醒両物質のいずれかは配糖体であり、生物時計は配糖体型活性物質中のグリコシド結合の開裂・形成という一連の化学反応を通じて、就眠運動をコントロールしていることが明らかになった。我々の研究は、生物時計によってコントロールされる生物現象を有機化学反応のレベルで解明した世界初の例である。 次に我々は活性物質の作用機構に関する研究に着手するため、活性物質を基に各種合成プローブを設計し、就眠運動の生物有機化学的研究を行った。徹底的な構造活性相関研究の結果、天然物にほぼ匹敵する活性を示す蛍光プローブを開発し、これを用いて、活性物質が就眠運動に際して中心的な役割を担う「運動細胞」に直接結合することを明らかにした。この結果は、運動細胞表面に活性物質の受容体が存在することを示唆するものである。また、ネムノキの活性物質を基に設計した蛍光プローブを用いて、活性物質の受容体は植物属内で共通である可能性が示された。次に、受容体候補分子を探索するために光親和性プローブ化合物の開発を検討した。活性部位近傍に光親和性基を配置した光親和性プローブを用いて、2種の受容体候補タンパク質(分子量約210kDa、180kDa)の検出に成功した。また、ガラクトース6'位に光親和性ユニットを導入したプローブは、受容体候補タンパク質との結合能を全く示さないことから、光親和性プローブの分子設計には、光親和性基を活性部位の空間的近傍に配置する分子設計が有用であることを始めて実験的に示すことに成功した。今後、受容体の精製、チャネル開閉制御機構などの機能へと研究を展開させる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Sugimoto, T.Fujii, Y.Idutu, S.Yamamura, M.Ueda: "Detection of Potential Membrane Receptor Proteins Concerning Circadian Rhythmic Leaf Movement of Legumes Using Novel Photoaffinity Probe Compounds"Tetrahedron Letters. (印刷中).
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[Publications] T.Tokunaga, A.Dohmura, N.Takada, M.Ueda: "Cytotoxic Antifeedant from Dionea muscipura Ellis : a Defensive Mechanism of Carnivorous Plant against Predators"Bull.Chem.Soc.Jpn.. (印刷中).
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[Publications] H.Nagano, E.Kato, S.Yamamura, M.Ueda: "Fluorescence Studies on Nyctinasty that suggests the Existence of a Genus-Specific Receptor for the Leaf-movement Factor"Organic&Biomolecular Chemistry. 1巻. 3186-3192 (2003)
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[Publications] H.Nagano, E.Kato, S.Yamamura, M.Ueda: "Fluorescence Studies on Nyctinasty Using Fluorescence Labeled cis-p-Coumaroylagmatine, a Leaf-opening Substance of Albizzia Plants"Tetrahedron Lett. 44巻. 2953-2956 (2003)
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[Publications] T.Fujii, T.Sugimoto, S.Yamamura, M.Ueda: "Synthesis of a Novel Bioactive Photoaffinity Probe Based on a Leaf-movement Factor with Potential High Binding Affinity to Its Receptor Molecule"Tetrahedron Lett. 44巻. 2497-2499 (2003)
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[Publications] E.Kato, H.Nagano, S.Yamamura, M.Ueda: "Synthetic Inhibitor of Leaf-closure Designed on the Chemical Mechanism of Leaf-movement"Tetrahedron. 59巻. 5909-5917 (2003)