2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15682003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博文 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60333580)
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Keywords | 北アジア / 中部・上部旧石器移行期 / 細石刃石器群 / 酸素同位体ステージ3 / バリショイ・ナリン遺跡群 / 動物遺存体 / 日露共同調査 / ステップ景観 |
Research Abstract |
平成16年度は,昨年に引き続き北アジアにおける後期旧石器時代初頭段階の実態を解明するために,ロシア連邦イルクーツク国立大学考古学研究室との共同調査を実施した。調査期間は7月13日から8月25日までの日程で,調査地点としては,昨年度に予備調査を実施したイルクーツク州に所在するバリショイ・ナリン1遺跡である。 調査には,イルクーツク大学のほか,ロシア科学アカデミー,東京大学,慶応義塾大学から研究協力者の参加があった。今年度は,昨年度の調査においてカルガ間氷期に位置付けることが推定されていた石器出土地層をより正確に確定するために,発掘区を設定した。調査の成果としては,数多くの動物遺存体と石器が共伴することが確認できたほか,年代測定の結果,約27000年前に位置付けられる古土壌層から石器が出土することが確認できた。 10月には,共同研究者であるイルクーツク大学のメドヴェージェフ博士を北海道大学に招へいし,研究計画の検討と成果の比較検討を行った。 これまでのイルクーツクでの調査の成果から酸素同位体ステージ(OIS)3段階の当該地域が南部に森林地帯が広がり,北部にステップ地帯が広がるモザイク景観であったこと。またそのような多様な環境を背景に多様な石器群の存在が想定されることが明らかとなってきた。 3月には,21COEの経費の助成を受け,ロシアと韓国の研究者を招へいし,北アジアの中期旧石器から上部旧石器への移行の問題と現代人の出現過程をめぐる諸問題を検討するワークショップを開催し,現段階での周辺地域における最新の情報の集成と比較検討を行った。 北海道島においては,引き続き上川盆地に所在する桜岡3遺跡の調査を継続する一方で,周辺地域の遺跡踏査を行い,これまで未周知の新規の細石刃文化期の遺跡を発見した。
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Research Products
(3 results)