2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15685004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大越 慎一 東京大学, 大学院・工業系研究科, 助教授 (10280801)
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Keywords | 光誘起強磁性 / 電荷移動 / シアノ架橋型金属錯体 / 磁気光学効果 / 電気化学的合成 / 薄膜 / 温度ヒステリシス / 協同効果 |
Research Abstract |
Rb_xMn[Fe(CN)_6]_<(x+2)/3>・zH_2Oでは、Rb含有量xが減少するに従い温度ヒステリシスが大きくなり、x=0.73では116Kであった。これは、MnからFeへの電荷移動量の低下に伴い転移エンタルピーが減少することで説明される。また、電気化学的に合成した錯体Cs^I_2Cu^<II>_7[Mo^<IV>(CN)_8]_4・6H_2Oにおいて光誘起強磁性を観測した。Cu^<II>イオンには5配位4角錐構造と平面4配位の2種類ある。また、Moの配位形態はバイキャップトトリゴナルプリズムで、すべてのシアノ基の窒素サイトにはCu^<II>イオンが配位している。この錯体は常磁性体であるが、5Kにおいて450-500nmの光を照射することで自発磁化(T_c=23K)が発現し、光照射後ヒステリシスループ(H_c=300G)を示した。ESRにおいて105Kで473nmの青色光を照射したところ、Cu^<II>に帰属されるピークの減少が観測された。また、MCDにおいて3Kで473nmの青色光を照射したところ350nm付近にMo^Vに帰属されるピークの出現が観測された。これらの結果より、光照射によりMo^<IV>(S=0)からCu^<II>(S=1/2)へ電荷移動がおこり、生成したMo^V(S=1/2)と電子を受けとっていないCu^<II>(S=1/2)の間で強磁性的な相互作用が働いたため、強磁性体へ転移したと考えられる。電荷移動による構造変化について検討するためXRDにおいて15Kで450-500nmの青色光を照射したところ、XRDパターンのシフトが観測され、α軸が7.242(3)から7.255(5)Åへ伸び、一方c軸は28.44Åと変化が無いことがわかった。5配位四角錐構造のCuにおけるエカトリアル位の結合距離はCu^<II>よりもCu^Iの方が長いことが知られていることより、5配位4角錐構造のCuへ選択的に電荷移動が起こったと考えられる。
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Research Products
(6 results)