2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤外シュタルク分光法を用いた巨大分子の構造-機能相関の解明
Project/Area Number |
15685005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中林 孝和 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30311195)
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Keywords | FT-IR / シュタルクシフト / 電場効果 / 赤外吸収スペクトル / タンパク質 / アミドバンド / 双極子モーメント |
Research Abstract |
本研究の目的は、外部電場の印加に伴う赤外吸収スペクトルの変化を高感度に検出する赤外電場吸収測定システムを製作し、タンパク質をはじめとする凝縮系の巨大分子に応用することにある。本年度は、昨年度製作した赤外電場吸収測定システムを用いて、様々な高分子の赤外電場吸収スペクトルの測定を行った。赤外電場吸収測定システムは、rapid-scan型FT-IRを用いて製作し、DC電場(0.2-1.5 MV cm^<-1>)がONの時とOFFの時の差スペクトル(ON-OFF)から赤外吸収スペクトルの電場効果成分(赤外電場吸収スペクトル)を得ることができる。高分子試料は、半透明アルミニウムが蒸着されたCaF_2基板上にランダム配向となるように作成し、その上にさらに半透明アルミニウムを蒸着し、2つのアルミニウム間に外部電場を印加した。赤外電場吸収の強度は印加電圧に対して2乗の変化を示し、ランダム配向の電場効果の理論と一致した。タンパク質のモデルとして、タンパク質と同じくペプチド基を骨格に持ち、α-ヘリックスの立体構造を示すポリ-γ-ベンジル-L-グルタメートの赤外電場吸収スペクトルの測定を行った。各振動バンドは、1次微分、2次微分または1次微分と2次微分の線形結合の形を示し、振動準位におけるシュタルクシフトが電場吸収スペクトルに反映されていることがわかった。アミドI振動とN-H伸縮振動の電場吸収スペクトルは2次微分の形を示し、振動励起に伴う双極子モーメントの変化が非常に大きく、電場によるスペクトル変化に対して支配的であることがわかる。一方C=0伸縮振動は1次微分の形を示し、振動励起に伴う分子分極率の変化が非常に大きいことがわかった。電場効果は近傍の官能基の影響を強く受けることから、赤外電場吸収スペクトルを解析することによって、タンパク質の詳細な構造情報を得ることができると期待される。
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Research Products
(8 results)