2003 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性高分子の高強度化と生分解性に及ぼす分子鎖構造および高次構造の解明
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15685009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩田 忠久 独立行政法人理化学研究所, 高分子化学研究室, 副主任研究員 (30281661)
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Keywords | 生分解性高分子 / 物性 / 生分解性 / 結晶構造 / 分子鎖構造 / 高次構造 / 延伸 / 分解酵素 |
Research Abstract |
生分解性脂肪族ポリエステである、ポリ(β-プロピオラクトン)とポリ(4-ヒドロキシブチレート)の結晶構造を単結晶の電子回折、配向結晶性フィルムのX線回折、コンピュータによるエネルギー計算の手法を用いて解析すると共に、ポリヒドロキシブチレート分解酵素およびリパーゼを用いた酵素分解性の解明を行った。さらに、ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート)の単結晶の熱分解挙動を、環境制御型原子間力顕微鏡を用いてリアルタイムで追跡し、これまで得られている酵素分解挙動との相関解明を行った。 微生物のポリヒドロキシアルカノエート合成に関与する酵素の一つである(R)-special enoyl-CoA hydroraseの結晶生成に成功すると共に、結晶構造を大型放射光を用いた三次元結晶構造の解析に成功した。 遺伝子組み換え大腸菌を用いて合成した分子量500万の超高分子量ポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート]の溶融紡糸繊維を氷水中に急冷することにより、非晶質繊維を作製した。この非晶質繊維を氷水中で6〜8倍に冷延伸、室温でさらに10倍に二段階延伸を施すことにより、高配向結晶性繊維を作製した。この繊維は、破壊強度1.3GPa、ヤング率18GPaを有する高強度繊維であり、手術用縫合糸や釣り糸として十分利用できることがわかった。 さらに、X線回折より、高強度繊維には、2回らせん構造と平面ジグザグ構造の二種類の分子鎖構造が存在することがわかった。 高強度繊維の荒川河川水を用いた微生物分解実験の結果、約1ヶ月間で完全分解されることがわかった。さらに、ポリヒドロキシブチレート分解酵素を用いた酵素分解実験の結果、平面ジグザグ構造は2回らせん構造より早く分解されることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Iwata, K.Tsunoda, Y.Aoyagi, S.Kusaka, N.Yonezawa, Y.Doi: "Mechanical properties of uniaxially cold-drawn films of poly([R]-3-hydroxybutyrate)"Polymer Degradation and Stability. 79. 217-224 (2003)
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[Publications] 岩田 忠久: "微生物産生脂肪族ポリエステルの高性能化、高次構造および生分解性"高分子論文集. 60(8). 377-390 (2003)
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[Publications] T.Hisano, T.Tsuge, T.Fukui, T.Iwata, K.Miki, Y.Doi: "Crystal structure of the (R)-specific enoyl-CoA hydrorase from Aeromonas caviae involved in polyhydroxyalkanoate biosynthesis"The Journal of Biological Chemistry. 278. 617-624 (2003)
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[Publications] M.Enoki, Y.Doi, T.Iwata: "Oxidative degradation of cis- and trans-1,4-polyisoprenes and vulcanized natural rubber polyisoplene with enzyme-mediator systems"Biomacromolecules. 4. 314-320 (2003)
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[Publications] F.Su, T.Iwata, F.Tanaka, Y.Doi: "Crystal structure and enzymatic degradation of poly(4-hydroxybutyrate)"Macromolecules. 36. 6401-6409 (2003)
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[Publications] Y.Furuhashi, T.Iwata, Y.Kimura, Y.Doi: "Structural characterization and enzymatic degradation of α-, β-, and γ-crystalline forms for poly(β-propiolactone)"Macromolecular Bioscience. 9. 462-470 (2003)