2003 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学効果による赤外発生とプローブレス近接場赤外顕微鏡への展開
Project/Area Number |
15686003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (70237949)
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Keywords | 非線形光学 / 接近場顕微鏡 / 4光波混合 / 赤外分光 / 振動分光 |
Research Abstract |
本研究では,非線形光学効果による赤外発生を用いた近接場プローブレス赤外顕微鏡を提案し,その実現を目指している.本年度は,光学顕微鏡と赤外分光器を組み合わせた赤外発光分光・可視発光領域観測システムを開発し,大気中でレーザー光を集光して誘電破壊(レーザーブレイクダウン)により発生するマイクロプラズマの赤外スペクトル観測と発光領域の大きさの観測を行った. 1.赤外発光分光・可視発光領域観測システムの開発 1)回折格子赤外分光器(既存Jasco G701)にMCT検出器を取り付け,外部から光を導入できるように改造した. 2)赤外分光器に光学顕微鏡を取り付け,レーザー光の導入と赤外発光の観測と同時に,マイクロプラズマの発光領域の大きさを観測できるようにした. 2.2種類のレーザーによるマイクロプラズマの赤外発光とその発光領域サイズの観測を行った. 1)約500nsの間,マイクロプラズマから赤外光が発生することを確認した. 2)マイクロプラズマの励起レーザーにナノ秒YAG(532nm,10ns)を用いた場合,プラズマ発光している領域の直径は約12ミクロンあり,赤外光の回折限界よりも小さなマイクロプラズマは発生することができなかった. 3)フェムト秒レーザー(800nm,100fs)を用いた場合,直径2.6ミクロンのマイクロプラズマを発生させることができた. ナノ秒レーザーを用いた場合,初期過程で発生したマイクロプラズマがレーザー光を吸収し,雪崩式に周囲までプラズマ化させるため膨張するが,フェムト秒レーザーを用いた場合,プラズマが発生した時点でレーザー光が通り抜けているために膨張が起こらないと考えられる.今後は,4光波混合や自己位相変調による赤外発生を検討し,また実際にプラズマを試料にどの程度まで近づけることができるか等の検討しながら,近接場顕微鏡への展開をおこなう.
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Research Products
(2 results)