2004 Fiscal Year Annual Research Report
PEFC長寿命化のための温度・含水場計測と膜分子構造分析に基づく膜劣化機構解明
Project/Area Number |
15686010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伏信 一慶 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50280996)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 劣化 / 高分子膜 / 計測 / MEA |
Research Abstract |
PEFC動作時の固体高分子膜温度・含水場を計測し、運転後の膜の分子構造分析との比較検討により、膜劣化機構の解明を図ることが本研究の目的である。PEFCの開発は、効率・コスト・耐久性・寿命のそれぞれで革新が必要な段階にあり、その一つが、電解質である固体高分子膜の高耐久性・長寿命化であるが、実は未だ膜劣化機構自体が明確でなく、高耐久性・長寿命化を目指す膜開発の具体的な指針が存在しない現状であり、劣化に関わる評価の概念が確立されていない。機構が明確でない大きな理由は、従来、運転中のバルクな膜面温度・含水場さえ明確でなく、劣化の進む箇所と温度・含水場の因果関係が明確でなかったことにある。もう一つは、触媒粒子と接する位置で、膜の温度が局所的に極めて高温になる可能性が指摘されるためである。触媒粒子は数nm〜数十nmのいわゆるナノ粒子である。触媒反応が発熱の主因であり、膜の低熱伝導率を勘案すると、触媒近傍に特異な高温部が存在しかつ樹脂の熱分解温度に達する可能性さえ否定できない。 本研究は、膜温度・含水分布と劣化の対応関係から、劣化機構解明につながる指針を得る事を目指す。 昨年度の検討をふまえ、今年度はPt/CとNafionのホットプレスによるMEA製作を確立し、i-V計測により市販MEAにせまる限界電流密度を得られるに至った。またこのMEAを用いた起動・停止劣化試験を行うことで、i-V, CVから性能低下が認められることを明らかにし、TEM計測により触媒粒子径の変化を認めている。運転時の温度場についてはセルシミュレータによる予測を開始しており、一方、従来GDL表面の温度場可視化であったものを、昨年度開発を開始したマイクロマシニングによる薄膜金属拡散層の開発により、触媒層温度場可視化の直接可視化への道を開いた。
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