2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機物輸送サブモデルの構築に向けた詳細観測による一次河川リターの動態の解明
Project/Area Number |
15686021
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤野 毅 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70282431)
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Keywords | CPOM / リーフリター / 上流河川 / 滞留・輸送 / 分解 / 平瀬・淵 / 河川生態系 / 定量化 |
Research Abstract |
平成15年度は、2つのフィールド観測に着手した。まず、リーフリターの分解過程について、リーフリターの種類や場所による違いを調べるためにリターバック法によって評価を行った。主なリターの樹種はサクラとケヤキであり、それぞれ5mmと1mmのメッシュサイズのバックに詰め、平瀬、淵、礫、樹林下に設置した。分解は流れのある平瀬で早く、特にサクラのほうがその傾向が顕著であった。種による違いはセルロースやリグニンなど難分解性有機物の含有割合の違いが反映されたと思われる。次に、5mmと1mmのバックを比較すると、水生昆虫の侵入を防ぐ目的で設置した1mmのほうでリターが早く消滅し、予想に反した結果となった。ところが、メッシュの中には1mm以上のサイズの水生昆虫が多く存在し、糞であるFPOMが多量に付着していた。このことより、1mm以下だった水生昆虫がメッシュの中で成長し、生長後メッシュの外に出られないのと、魚の捕食にも逃れられるという好条件も影響していたことが考えられる。この結果より、メッシュバック法によるリターの分解を評価する際、これを捕食する水生昆虫の条件を制御してしまうことで定量的な評価を困難にする危険があることが示された(以上の結果を速報として関連セミナー、および学会にて発表済み)。 次に、リターがどの場所にどのくらい集積するのかを調査した。200mの領域を対象とし、現地の詳細なマップを作成し、それに実際のリターの量をプロットして詳細分布を作成した。このことから、平瀬においては河床の礫のサイズや礫の配置、水深がリターの集積に深く関与していることが推察される。今後も同様な調査を繰り返し行い、集積度合いを定量化するための基礎データと集め、物理パラメターを用いてリターの集積規模を表現するモデルを構築し、有機物(特にCPOM)輸送量の定量化を目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujino T., Nakajima T., Nanda A., Asaeda T.: "Leaf litter decomposition in stream ecosystem"Proceedings of the seminar on civil and environmental engineering, Bangkok. 2-39-2-46 (2003)
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[Publications] Asaeda T., Manatunge J., Fujino T., Sovira D.: "Effects of salinity and cutting on the development of Phragmites australis"Wetlands Ecology & Management. 11. 127-140 (2003)
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[Publications] Fujino T., D.G.Nimal Priyantha, Asaeda T.: "Loading and utilization of dissolved organic carbon from floating macrophytes"The 5th International Summer Symposium, JSCE. (2003)
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[Publications] D.G.Nimal Priyantha, Asaeda T., Fujino T.: "A model of carbon and nitrogen dynamics and their interactions in aquatic plants"The 5th International Summer Symposium, JSCE. (2003)
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[Publications] 浅枝 隆, 藤野 毅, Nguyen H.T., 村上 学: "流れ場がもたらす抽水植物の群落構造の相違について"日本陸水学会第68回大会講演要旨集. 169 (2003)
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[Publications] Nanda A., Nakajima T., Fujino T., Asaeda T.: "Leaf litter decomposition by mesh bag method and its problem"日本陸水学会第68回大会講演要旨集. 174 (2003)