2003 Fiscal Year Annual Research Report
X線異常分散を利用した元素価数選択性X線ホログラフィー法の研究
Project/Area Number |
15686025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20283632)
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Keywords | ホログラフィー / 蛍光X線 / X線散乱 / 局所構造 / 単結晶 / 吸収端 / X線異常散 |
Research Abstract |
特定元素からのX線異常散乱を利用した複素X線ホログラフィーを開発した。まず、コンピューターシミュレーションにより、As吸収端近傍の幾つかのX線エネルギーのGaAsクラスターのホログラムを求め、その差分から散乱パターンの位相の実部と虚部の両方を抽出でき、複素ホログラムができることを実証した。この複素X線ホログラムより再生される原子像は、単波長ホログラフィーなどで観測されるツインイメージやアーティファクトなどが全く表示されない、鮮明な原子像でかつ、異常散乱に関る原子のみが再生される元素識別機能を有することが分かった。なお、複素X線ホログラフィー法は最低0.01%程度の蛍光X線の強度変動を測定する必要があることもシミュレーションにより判明した。この条件を満たすよう、放射光実験施設SPring-8のBL37XUに据え付けてあるホログラフィー装置の改良を行った。まず、N_2ガス吹き付け型クライオストリームにより試料を約100Kまで冷却するシステムを開発した。これにより原子の熱振動の寄与が軽減されホログラムのシグナルが室温測定時に比べ10〜30%増大した。また、円筒状グラファイト分光結晶の開発も行った。従来のLiF分光結晶に較べ一桁近い反射強度を得ることが可能になり、より高いS/N比でホログラム測定を行えるようになった、これらのシステムを用い、複素X線ホログラフィーの予備実験を行った。実験結果をシミュレーションと比較した結果、パターンの細かい形状および絶対値は完全に一致はしていなかったが、Asの異常散乱の影響によるホログラムの変化は観測されていることが確認できた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Takahashi, K.Hayashi, E.Matsubara: "Complex X-ray holography"Physical Review. B68. 052103 (2003)
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[Publications] Y.Takahashi, K.Hayashi, E.Matsubara: "Development of a new holographic method with resonant X-ray scattering"Science and Technology of Advanced Materials. 4. 409-414 (2003)
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[Publications] 林 好一, 松原 英一郎: "原子分解能ホログラフィーによる三次元像再生技術の最近の進展"日本結晶学会誌. 第45巻第6号. 364-370 (2003)
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[Publications] T.Sekioka et al.: "Structure analysis of lattice defects in high Tc super conducting material bombarded by swift heavy ions using X-ray fluorescence holography"Proceedings of the 8^<th> Japan-Russia International Symposium on_Interaction_of_Fast_Charged Particles with_Solids. 127-131 (2003)
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[Publications] K.Hayashi et al.: "3D atomic imaging of SiGe system by X-ray fluorescence holography"Journal of Materials Science : Materials in Electronics. 14. 459-462 (2003)
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[Publications] 林 好一, 高橋幸生, 松原英一郎: "蛍光X線ホログラフィー"応用物理. 第72巻第7号. 865-871 (2003)