2004 Fiscal Year Annual Research Report
X線異常分散を利用した元素価数選択性X線ホログラフィー法の研究
Project/Area Number |
15686025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20283632)
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Keywords | X線ホログラフィー / X線異常分散 / 蛍光X線 / X線回折 / 局所構造 / 原子像 |
Research Abstract |
蛍光X線ホログラフィー(XFH)は,蛍光X線を発する原子の周りの3次元的な原子配置を直接的に決定できる新しい構造解析法である.微量添加元素周辺などの局所格子歪みの定量解析に対して有望視されているが,そのためには原子位置を10^<-3>nmオーダーで決定できる解析アルゴリズムを開発させる必要がある.我々はX線吸収微細構造法でよく用いられる逆フーリエ変換法をXFHに適用し,原子間距離の精密評価を試みた. 試料には金(001)の単結晶を用いた.XFH測定は,放射光実験施設SPring8のBL39XUビームラインを用いて行った.入射X線のエネルギーは22.5-30.0keVの範囲を0.5keV stepsで変化させた.放出されるAu Lα線をLiF円筒状結晶により分光・集光し,高速X線検出器であるAPDを用い,約200万(カウント1秒)の高カウントレートで検出した.ホログラムは,試料の方位を変えながら強度変化を記録することにより測定した.16のホログラムから得られた第1〜7近接の金の原子像を,逆フーリエ変換することにより、一つの原子からの振動に相当するホログラム振動を抽出することができる.我々は、これらの振動パターンの位相は、シミュレーションによるものと良い一致を示すことを見出した。振動パターンの周期からAu-Au結合距離を求めたところ,0.2877nmであった.実際の原子間距離は0.2884nmであるために,1x10^<-3>nm以下の精度で原子間距離が求められていることが分かる.第二近接原子以降の原子に対する原子間距離も、0.3%の精度で一致していることが分かり、本解析法によって、今後、局所格子歪みなどの定量解析に対する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)