2003 Fiscal Year Annual Research Report
光溶解を利用した色素増感型太陽電池用高比表面積半導体電極の開発
Project/Area Number |
15686030
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
番場 教子 信州大学, 工学部, 助手 (90303445)
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Keywords | 二酸化チタン / 酸化亜鉛 / 複合材料 / 光溶解 / 多孔体 / 半導体電極 |
Research Abstract |
本研究は低温で二酸化チタン(TiO_2)と酸化亜鉛(ZnO)の複合薄膜を作製し,酸化亜鉛を光溶解により溶解させ多孔質化し高比表面積半導体電極薄膜を得ることを目的としている. 本年度,三磁極型マグネトロンスパッタ装置を用い,内側にチタン(Ti),外側に亜鉛(Zn)ターゲットを配置し,内側と外側のスパッタサイクル比(組成)を変化させてガラス基板上にTiO_2/ZnO複合膜の作製した.得られた薄膜に対し,水銀ランプの光を照射し光溶解による多孔質化処理を試みたが,光溶解の速度が遅いまたは用いた光の波長が不十分であったせいか、ZnOの完全な溶出が難しかったため,酸にもアルカリにも溶けるというZnOの性質を利用して酢酸でZnOを溶解させ,多孔質化の可能性を検証した.膜の結晶構造及び組成はX線回折及びEPMAによって行い,また本助成金で購入したレーザー顕微鏡及びSEMで微細組織を観察した. Zn量が少ない場合(約15%),通常アナターゼ型TiO_2ができるスパッタ条件であってもほぼルチル型TiO_2の粒子が大きく凹凸のある薄膜が得られ,酢酸で溶解後も組成及び形状に大きな変化は認められなかった.これに対し,Zn量が多くなるに従い,溶解前のルチルのピークが減少するとともにTi-Zn酸化物の生成が確認され,平坦な表面構造をもつ膜となった.Zn溶解後には結晶構造が崩れ,アモルファスな構造をもつ膜に変化した.またZn量が50%前後と多い試料では溶解後のZn量がわずか数%となり,溶解前の平坦な膜とは異なり亀裂の発生及び微粒子が多く見られ,様相に変化が現れたが,現状では多孔質構造にはなっていない. 原子単位で成膜するスパッタ法で複合膜を作製することは容易ではないが,今後スパッタ条件を更に検討し,TiO_2とZnOをうまく相分離した複合膜を作ることが多孔質構造を得るために非常に重要であると考えられる.
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