2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の頭尾軸(前後軸)形成における組織間相互作用
Project/Area Number |
15687008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
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Keywords | 四肢 / 発生 / 組織 / 肢芽 / 軸 / 形態形成 / 遺伝子発現 / ニワトリ |
Research Abstract |
西肢の位置を決めるための組織間相互作用に関して、研究目標ともなっている他の組織、とくに体節からの影響を組織培養および移植実験と定量RT-PCR法・in situ hybrid.法を併用した方法により調べた結果、体節が四肢の場所指定をしている可能性を見出した。さらにそれは前肢と後肢の違いを導くためにも使われている可能性が高い。これらのことは発生中の初期形態形成において組織間相互作用が軸形成にかかわることを示した数少ない研究成果であり、現在、論文の投稿準備中である。 このような組織間相互作用による頭尾軸決定は発生のごく初期に行われている可能性を別の実験から見出した。すなわち将来の手足を作る側板中胚葉は内臓中胚葉を作る組織と起源を共にするが、そこから分離した内蔵中胚葉からも手足を作ることができることを見出した。さらに将来、頭に近い側の内臓を形成する中胚葉からは前肢が、尾部に近い側を形成する内臓中胚葉からは後肢が形成されることがわかった。これらの結果も組織間相互作用を示す貴重なデータであり、現在論文が査読中である。 肢芽内の軸形成についても調べている。前後軸形成については、手の前側の指と後ろ側の指では形成されるメカニズムが異なる可能性を見出している。これまで指は一律に同じ形成システムによって作られると信じられてきたが、親指に相当する前側の指と人差し指以降に相当する後ろ側の指では形成に使われる遺伝子群が異なる可能性が高い。また、肩から指先にかけての軸形成に関して、きわめて詳細な細胞運命図を形成することにより、どこからどのようにして指の細胞が生じてくるかを調べた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tamura, K., Amano, T., Satoh, T., Saito, D., Yonei-Tamura, S., Yajima, H.: "Expression of rigf, a member of avian VEGF family, correlates with vascular patterning in the developing chick limb bud."Mechanisms of Development. 120. 199-209 (2003)
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[Publications] 田村宏治, 斉藤大介: "触れるモデル高等脊椎動物としてのニワトリ胚"わかる実験医学シリーズ 発生生物学がわかる. 1. 180-186 (2003)
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[Publications] 井出宏之 編著: "四肢の形態形成"アイピーシー. 352 (2003)