2005 Fiscal Year Annual Research Report
窒素に応答したダイズ種子貯蔵タンパク質遺伝子転写調節因子の同定
Project/Area Number |
15688003
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大竹 憲邦 新潟大学, 自然科学系, 助手 (50313507)
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Keywords | ダイズ / 種子貯蔵タンパク質 / 転写調節タンパク質 / 無機ピロリン酸フォスファターゼ / SEF1 / βサブユニット / クロマチンモデリングファクター / SWI / SNF複合体 |
Research Abstract |
これまでダイズ種子貯蔵タンパク質の一つであるβサブユニットは利用可能なグルタミン濃度により集積量が調節されることを明らかにしてきた。窒素欠乏ダイズに対する高濃度窒素供給が登熟種子の遺伝子発現に与える影響についてミヤコグサマクロアレイを用い網羅的に解析したところ、無機ピロリン酸フォスファターゼが関与している可能性が示唆された。未熟子葉のin vitro培養系において、オルトバナジン酸によりフォスファターゼ活性を阻害し、更に無機リン酸を10mM添加する実験を行ったところβサブユニットmRNA集積はフォスファターゼの活性を阻害していない時と同程度に回復した。従ってダイズ登熟種子では窒素供給量の増加を無機リン酸の生成量で検知しシグナル伝達している可能性が強く示唆された。 βサブユニット遺伝子上流プロモータ領域のデリーションラインを用いて転写調節領域における窒素応答領域について解析し、調節領域に結合するタンパク質の同定を行った。前年度までに窒素応答配列は転写開始点-732bpから-631bpまでの101bpの間であることを明らかにしてきた。この領域にはすでにDNA結合タンパク質であるSEF1が認識する配列が報告されているため、SEF1認識配列を含む25bpをタンデムに並べたプライマーを作成し、酵母ワンハイブリッドシステムによりDNA結合タンパク質を検索した。in vitroにおいて明確なタンパク質の発現が認められた一つについてin vitro翻訳産物と合成オリゴペプチドと混合し、ゲルシフトアッセイを行った。 その結果、ダイズ未熟子葉の核タンパクを混合した時とほぼ同じ位置にシフトしたバンドが認められ、これがダイズ種子において窒素応答により転写を調節するタンパク質である可能性が示された。この遺伝子は日本DNAデータバンクに登録し、アクセッションナンバーAB250760を得た。このタンパク質は酵母で知られているクロマチンモデリングファクターの活性ドメインを持つことがタンパク質の配列から予測された。
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