2004 Fiscal Year Annual Research Report
短期間の低湿度処理による植物への環境ストレスの緩和
Project/Area Number |
15688007
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
渋谷 俊夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (50316014)
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Keywords | 苗生産 / 水ストレス / 環境調節 / 湿度 / 植物応答 |
Research Abstract |
これまで,断根挿し木前に短期間低湿度処理を行い,植物の蒸散特性を変化させることで,挿し木直後の水ストレスを緩和できることを明らかにしてきた.平成16年度は,低湿度処理期間における光照射の必要性と最適な処理期間を詳細に検討するために,光照射の有無および低湿度処理期間がキュウリ実生の葉面コンダクタンスおよび断根挿し木後の成長に及ぼす影響を水分生理学的な手法によって解析した.さらに低湿度処理開始直後の純光合成速度,蒸散速度および葉面コンダクタンスの変化を連続的に測定できるシステムを作製し,低湿度処理によるガス交換の変動を調べた. 24hの低湿度処理期間の後半12hに光照射条件であった試験区では,低湿度処理期間の後半12hに暗黒であった試験区と比べて,断根挿し木後の発根が促進された.このことから,低湿度処理によって断根挿し木後の水ストレスを緩和するためには,低湿度処理中に光照射が必要であることが示された.連続的な光照射下での低湿度処理によって,葉面コンダクタンスは経時的に低下したが,18時間以上処理するとコンダクタンスは増大した.低湿度処理した実生を断根挿し木すると,処理終了時の葉面コンダクタンスが低かった試験区ほど挿し木後の蒸散速度が小さくなり,挿し木後の発根量が大きくなった.低湿度処理中における葉内水ポテンシャルは葉面コンダクタンスの変化に対応していた.このことから,断根挿し木後の水ストレスを緩和して成長を促進するためには,低湿度処理を光照射下で行い,処理期間は葉面コンダクタンスの低下に着目して決定することが重要と考えられた.低湿度処理後のガス交換の変動を調べた結果,純光合成速度および葉面コンダクタンスは経時的に変化し,その低下率は葉面付近の湿度条件,気流速度条件に大きく影響されることが明らかとなった.次年度ではこれらの結果にもとづき,処理装置の開発および実践的な試験を行う.
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Research Products
(1 results)