2004 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植患者のMDR1及びCYP3A遺伝子情報に基づく個別免疫抑制療法の確立
Project/Area Number |
15689010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 講師 (90303825)
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Keywords | P-糖タンパク質 / トランスポータ / 生体肝移植 / タクロリムス / 免疫抑制剤 / CYP3A4 / 白血球 / 吸収障壁 |
Research Abstract |
臓器移植治療におけるタクロリムスなどを中心とした免疫抑制療法は、移植片生着のためには必須である。一方、タクロリムスの血中濃度を有効域に保っているにも関わらず、急性拒絶反応や、過剰な免疫抑制によると感染症の合併などが問題となっているため、タクロリムスに対する応答性(薬物感受性)の個別化が必要と考えられる。 本研究では、免疫抑制剤の薬効発現部位である末梢血白血球に着目し、P-糖蛋白質やCYP3Aなど肝臓や小腸における解毒因子が白血球において薬物の分布障壁として機能するという仮説の下、生体肝移植患者の末梢白血球を対象として、これらタンパク質をコードする遺伝子発現と臨床情報の比較解析から、有効治療域設定の個別化を目指して系統的な解析を行った。その結果、末梢血白血球においては、CYP3Aサブファミリーの内CYP3A5及びCYP3A43の発現か認められたが、CYP3A4やCYP3A7の発現は検出できなかった(108症例、200測定ポイント)。一方、末梢血におけるCYP3A5やCYP3A43の発現は、同一患者に置いても術後経過によっては発現しない場合があることから、何らかの臨床状態と関連する可能性が示唆され、解析を進めている。また、188例の患者群及び192例の移植肝を用いた-塩基多型(SNP)解析の結果、肝臓で認められたCYP3A5*3多型によるCYP3A5mRNA発現の低下は、小腸組織に置いても認められた。さらに、小腸CYP3A5発現群(CYP3A5*1/*1または*1/*3)におけるタクロリムス投与量は、非発現群(CYP3A5*3/*3)に比して高いことから、術後のタクロリムス投与量設定に対し有用な知見を得ることができた。さらに、小腸移植患者に対する小腸MDR1レベルのモニタリングが、投与経路の選択のみならず投与量設定にも有効であることが判明した。
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Research Products
(12 results)